京の七口

京の七口について

京の七口（きょうのななくち）は、京都への主要な街道の出入口を指す名称で、古くから多様な歴史的背景を持っています。その起源は鎌倉時代にまでさかのぼり、室町時代には幕府や朝廷などから関所が設けられ、通行料が徴収されるようになりました。これにより「七口の関」と呼ばれる関所が設立され、口の数が7つとされる記録が見られます。例えば、1441年には朝廷が設置した関所が7か所あったことが明らかにされていますが、その位置は各団体によって異なるため一概にはしきれません。

江戸時代に入ると「七口」という表現が一般的となり、豊臣秀吉が京都改造の際に御土居を築いたことで、7つの出入口が意識されるようになったとされています。しかし、秀吉の設置時には実際には十口に及ぶ出入口があったとも言われており、また当時の文献には現在の七口に含まれない出入口も存在したことが示唆されています。そのため、七という数字は単に口の数を示すのではなく、古代日本の行政区画である「五畿七道」を反映した名称であるとの考えも有力です。

京の七口の詳細

京の七口として一般的に認知されている出入口について、以下にそれぞれの口の特徴や地名を紹介します。

鞍馬口（くらまぐち）

鞍馬口は、出雲路口とも呼ばれる場所で、賀茂川の西岸にあり、かつては御土居の出入口となっていました。「鞍馬口町」の地名が今も残り、近くの出雲路橋にはその名が刻まれています。この口からは鞍馬街道が伸び、鞍馬寺へ向かう参詣道および物流の道として利用されていました。

大原口

大原口は八瀬を経て朽木へと至る若狭街道上に位置し、河原町今出川交差点の近くにその名を持った地名が見られます。この道は重要な物流路であり、京都と若狭を結んでいました。

荒神口

荒神口からは志賀峠を越えて琵琶湖方面へ向かう道があり、今道の下口とも称されます。河原町通の一部には「荒神口」という名も残っており、この地域も往来の要所となっていました。

粟田口

粟田口は、東海道・中山道と接続する重要な出入口で、御土居によって設けられたのは河原町三条交差点近くです。粟田神社は「旅立ちの神」として信仰され、多くの旅人が訪れました。

伏見口

伏見口は豊臣秀吉によって開かれた伏見街道がアクセスする地点で、御土居の出入口は五条大橋の近くにありました。

竹田口

竹田口は京から伏見港へ通じる竹田街道の一部で、御土居の出入口は八条東洞院通に位置していました。江戸時代に開かれた街道でもあります。

丹波口

丹波口は亀岡から丹波へ続く山陰街道にアクセスする地点で、御土居の出入口は千本通の七条上でした。現在でも丹波口駅としてその名を残しています。

長坂口

長坂口は京見峠を越え、杉坂へ向かう道が続いており、周山や若狭へと向かう交通路として利用されてきました。御土居の出入口は現在の北区鷹峯旧土居町に位置しています。

このように、京の七口は京都の歴史と文化を探る上で重要な役割を果たしてきました。それぞれの口には独自の歴史や意義があり、往来する人々にとって重要な交通の要所であったことが、今もなお地名として残されていることからも伺えます。

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