京兆尹

京兆尹（けいちょういん）

京兆尹とは、中国の古代において、首都とその周辺地域を統治した長官の役職名です。その歴史は長く、時代とともに役割や重要性が変化してきました。

歴史

漢代

京兆尹の起源は、秦代に首都咸陽周辺を統治するために設置された内史に遡ります。前[[漢]]成立後、内史は一時的に塞国、渭南郡と改称されましたが、再び内史の管轄に戻りました。その後、内史が左右に分割されると右内史の管轄となり、さらに分割されて京兆尹が設置されました。

京兆尹は郡太守と同等の職務を担いましたが、首都圏を管轄し、朝政にも参加したため、非常に重要な役職とみなされました。左馮翊、右扶風とともに三輔と称され、宰相候補の適性を試される場でもありました。

後[[漢]]時代になると、首都が洛陽に移されたため、京兆尹の地位は相対的に低下しました。

魏晋南北朝時代

三国時代の魏では、京兆尹の管轄区域が京兆郡と改称され、長官も京兆太守となりました。南北朝時代には、西魏によって京兆太守が再び京兆尹と改称されました。

隋・唐代

隋代初期には京兆郡長官として京兆尹が設置されていましたが、すぐに廃止されました。唐代に入ると、一時的に雍州が京兆尹と改称されましたが、これも短期間で廃止され、官職としての京兆尹は消滅しました。しかし、その後も京師所在地の行政長官を京兆尹と呼ぶ習慣は残りました。

中華民国

清代には、北京周辺の24県が順天府に属し、直隷総督の監督を受けていました。中華民国成立後、北京が首都となると、その周辺地域は重要視され、191[[4年]]に順天府が京兆地方と改称されました。同時に『京兆尹官制』が発布され、京兆地方長官は京兆尹と称し、他省と同等の行政権限を与えられました。しかし、1928年に京兆尹官制は廃止され、京兆地方は河北省に統合され、京兆尹も廃止されました。

日本

日本では、京職の長官である「左京大夫」「右京大夫」を、唐名で「京兆尹」と呼んでいました。室町時代に幕府の管領を務めた細川勝元らの細川家嫡流を京兆家と呼ぶのは、このことに由来します。

歴代の京兆尹

前[[漢]]の京兆尹には、無忌、干己衍、建、雋不疑など、多くの人物が名を連ねています。（詳細は省略）

関連項目

京兆郡：三国時代から隋代にかけて設置された行政区画。
京兆地方：中華民国北京政府により設置された行政区画。
* 京兆府：唐代から元初にかけて設置された府。

京兆尹は、中国の歴史において首都圏の統治を担った重要な役職であり、その変遷は中国の政治制度の変遷を反映しています。また、日本にも影響を与え、日本の歴史や文化にもその名残が見られます。

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