京成バス千葉ウエスト千鳥営業所

京成バス千葉ウエスト 千鳥営業所

千葉県浦安市千鳥に位置する京成バス千葉ウエストの営業所です。主に浦安市と市川市の一部地域において、住民の日常の足となる一般路線バス、成田・羽田両空港や都心部を結ぶリムジン・高速バス、そして浦安市のコミュニティバス「おさんぽバス」の運行を担っています。

その歴史は、1976年11月12日に京成電鉄の関連会社として設立されたオリエンタルランド交通株式会社に始まります。翌1977年4月1日には、現在の浦安駅周辺と舞浜三丁目間を結ぶ路線で一般乗合バス事業を開始しました。今川線や入船線など、順次路線網を拡大していきます。1987年9月16日には貸切バス事業にも参入しました。

地域の交通体系に大きな変化をもたらしたのが、1988年12月1日のJR京葉線南船橋駅～新木場駅間の開業です。これにより、浦安駅、舞浜駅、新浦安駅の3駅を新たなターミナルとする大規模な路線再編が実施されました。

1989年8月1日には、京成電鉄の資本参加を経て、商号を東京ベイシティ交通株式会社へと変更しました。この時期、京成電鉄の連結子会社であると同時に、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドの持分法適用会社でもあり、他の京成グループバス会社とはやや異なる経営体制を有していました。

事業所は当初、浦安市舞浜にありましたが、2001年7月27日に現在の浦安市千鳥へ移転しました。千鳥営業所開設後の2002年4月にはCNG充填所「浦安エコ・ステーション」を設置し、環境対応車両の導入を進めましたが、こちらは2017年末に営業を終えました。

地域貢献の一環として、2002年4月29日からは浦安市より委託を受け、コミュニティバス「おさんぽバス市民病院線」（現在の医療センター線）の運行を開始しました。運賃を安価に設定し、交通空白地域の解消に貢献するこのバスは、利用者を順調に増やし、2012年には累計乗客数1000万人を達成しています。その後、舞浜線、じゅんかい線など路線が拡充されました。

この間にも、2008年のPASMO導入（Suicaも利用可能に）、2009年の大規模な路線再編など、サービス向上や効率化に向けた取り組みが行われました。時代の変化に合わせて、バス共通カードの終了（2010年）、無料Wi-Fiサービスの廃止（2021年）、バス利用特典サービスの終了（2021年）なども実施されました。

2017年には創立40周年を記念し、オリエンタルランド交通時代の復刻カラー車両を運行するなど、歴史を振り返る企画も行われました。2020年からは一般路線バス一日乗車券「ぶらやすきっぷ」の販売を開始しています。

そして、京成グループにおけるバス事業再編の一環として、2025年4月1日には京成トランジットバスなどと統合され、京成電鉄バスホールディングス傘下の京成バス千葉ウエストの営業所として新たなスタートを迎える予定です。

主な運行系統

千鳥営業所は、浦安市・市川市内に広範な一般路線網を展開しています。運賃は基本的に乗車距離に応じたゾーン制運賃を採用し、乗車時に行き先を申告して支払う前払い方式です。主な運行エリアは、浦安駅、新浦安駅、舞浜駅の各ターミナル駅を中心に、住宅地、工業地帯、商業施設、公共施設、学校、東京ディズニーリゾート周辺などを結んでいます。

数多くの系統が存在し、運行エリアや時間帯によって様々なルートが設定されています。例えば、

浦安駅・新浦安駅エリア: 北栄、今川、入船、富岡、堀江、猫実、当代島、海楽、明海、日の出、高洲といった浦安市内の主要な地区を結ぶ路線網があります。系統によっては、浦安駅と新浦安駅間を異なるルートや運賃で結ぶもの、特定の学校や公共施設へのアクセスを重視するものなど、多様なニーズに対応しています。
舞浜駅エリア: 舞浜駅と浦安市内各方面を結ぶ路線や、東京ディズニーランド、東京ディズニーシーといったリゾート施設や周辺ホテルへのアクセスを担う系統が運行されています。物流施設が集まる千鳥地区への足となる系統も重要です。
* 市川市方面: 一部の系統は、市川市の南行徳駅まで乗り入れていました（現在は廃止）。

また、空港リムジンバスとして、羽田空港および成田空港と東京ディズニーリゾート、新浦安エリアを結ぶ路線を、他のバス事業者と共同で運行しています。さらに、東京駅や秋葉原駅と東京ディズニーリゾート、新浦安エリアを結ぶマイタウンダイレクトバスも運行しており、都心とのアクセスを確保しています。

浦安市から委託を受けるコミュニティバス「おさんぽバス」は、小型車両を使用し、医療センター線、舞浜線、じゅんかい線（いちょう・つつじルート）などを運行しており、きめ細やかな地域内の移動手段を提供しています。

過去には、利用状況の変化や路線再編に伴い、浦安高校線、南行徳線、富岡S線、浦安斎場線、シンボルロード線（舞浜駅発着）、弁天・市役所線、海園の街線など、運行を終了した系統も存在します。

車両について

旧オリエンタルランド交通時代は、いすゞ自動車といすゞ車体に加え、日産ディーゼル工業（現UDトラックス）製の車両も採用していましたが、現在は日産ディーゼル車は引退し、ジェイ・バス製（いすゞ・日野）の車両に統一されています。主力はいすゞ車ですが、狭隘路線やコミュニティバスの予備車両として日野ポンチョも導入されています。

沿線に大規模な住宅団地や事業所、学校が多いことから、かつては多くの乗客を運ぶため、一般的な車両より全長が長い長尺の大型路線車が多数を占め、低床化が進む前は乗降効率の良い3扉車も多く活躍していました。低床化後もノンステップ車の多くは長尺タイプが導入されています。CNG（圧縮天然ガス）車両も一時期導入されていましたが、充填所の閉鎖に伴い引退しました。また、日野ブルーリボンシティハイブリッドといった低公害車も導入されました。

車両のカラーリングは、オリエンタルランド交通時代のクリーム色に緑と黄緑の帯から、現在の白地に緑と紺の帯へと変更されています。高速バス車両は京成グループ共通の塗装です。

コミュニティバス「おさんぽバス」には、運行開始当初、クセニッツ社製の車両などが導入されましたが、現在は主に日野ポンチョが使用されています。専用のカラーリングが施されています。

過去に廃車となった車両の一部は、その特徴（長尺や3扉など）から地方のバス事業者や特定の用途（空港ランプバス、企業送迎など）に譲渡された事例があります。特に、3扉車はその構造から多くの乗降がある路線で重宝されました。おさんぽバスとして使用された車両が、自治体で移動防犯車として再活用されたユニークな例もあります。

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