クセニッツ

クセニッツ（Kutsenits）

クセニッツは、オーストリアに本社を置くバス車体メーカー（コーチビルダー）です。主にノンステップバスの製造を手がけており、その特徴は、顧客の要望に応じたきめ細やかなカスタマイズが可能である点です。

車種

クセニッツのバスは、フォルクスワーゲン・タイプ2（T4）のシャーシをベースに製造されています。このシャーシはフロントエンジン・フロントドライブ方式で、エアサスペンションを備えています。2004年のモデルチェンジでは、T5ベースとなりデザインが一新されました。

カスタマイズの自由度が高く、全長や車体幅、燃料の仕様などをユーザーの要望に応じて変更できます。また、国産の大型・中型路線バスと同様の大型行先表示器を前面に搭載できるのも特徴です。

バスだけでなく、同じシャーシをベースとした貨物仕様（バン）も製造しており、これは「CARGO-」と呼ばれています。

主な車種は以下の通りです。

CITY-I L：全長6m未満の小型バスで、特に需要の少ない路線や狭隘路線に適しています。東京都小平市「にじバス」で採用されています。
CITY-I L CNG：CITY-I LのCNG（圧縮天然ガス）仕様車です。
CITY-II ハンディキャップ：全長6m級のタイプで、後面に車椅子乗車用の扉を備えています。エアサスペンションにより車体をほぼ地面と同じ高さまで下げることが可能です。
CITY-IV：全長7m級で、後輪2軸の3軸バスです。後面に扉を設けて車椅子の乗降が可能な仕様もあります。石川県金沢市「金沢ふらっとバス」で採用されています。
CITY-IV CNG：CITY-IVのCNG仕様車です。モデルチェンジ前はCITY-IIIと称していました。

日本での普及

日本国内では、1999年3月28日に金沢市「金沢ふらっとバス」が最初にクセニッツ製の小型バス車両をコミュニティバスとして導入しました。この際、地元のグリーンベル・モーター（後にクセニッツジャパン）が輸入代理店となり販売を行いました。

しかし、ライトバンクラスのシャシを使用していたため、エンジンは2.5L110馬力/19.8kgmと、頻繁に発着を繰り返す路線バスとしてはトルク不足で故障も多かったようです。前橋市「マイバス」では、修繕費が6年間で6,700万円に達し、自治体にとって大きな負担となっていました。その後、4.7L180馬力/50kgmのエンジンを搭載した日野・ポンチョ（HX6J系）に切り替えたところ、初年度の修繕費用は530万円程度に減少しました。

また、龍ケ崎市「龍・ゆうバス」では、2台あるバスの稼働率が56～61%と低く、修繕費も5年間で1,890万円に達していたため、クセニッツの車両は廃車となりました。

関連事項

コーチビルダー：バスの車体を製造するメーカー
ノンステップバス：乗降口に段差がないバス
コミュニティバス：地域住民の生活を支えるためのバス
金沢ふらっとバス：金沢市で運行されているコミュニティバス

ベース車種

フォルクスワーゲン・タイプ2
フォルクスワーゲン・トランスポルター (T4)

競合車種

日野・ポンチョ#初代
オムニノーバ・マルチライダー - 日産ディーゼル販売会社が輸入
メルセデス・ベンツT1Nミニバス - 大阪市営バス「赤バス」で採用

外部リンク

オーストリア本社

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