京成バス千葉セントラル高浜営業所

京成バス千葉セントラルの高浜営業所は、千葉県千葉市美浜区高浜に拠点を置くバス運行事業所です。元々は「千葉海浜交通株式会社」として独立した企業でしたが、2025年 4月1日付で実施された京成グループのバス事業再編に伴い、京成バス千葉セントラルの一営業所となりました。この営業所の始まりは、新しく造成された海浜ニュータウンの住民輸送を円滑に行うための路線バス整備でした。設立当初は、開発主体である住宅・都市整備公団（現：UR都市機構）や千葉市からの補助金を受けながら、地域住民の生活を支える交通手段として運営されていました。時を経て、新たな路線が設けられたり、京成グループ内の他のバス会社から路線が移管されたりした結果、現在では海浜ニュータウン内だけでなく、千葉市美浜区の広い範囲で様々な路線を運行しています。

沿革

千葉海浜交通は1973年 1月24日に設立され、海浜ニュータウンへの最初の入居が始まった同年4月1日に営業運転を開始しました。最初に運行されたのは、現在の高洲線の前身にあたる高洲第一団地線で、同年中には検見川線も加わりました。開業当初は、ニュータウンから国鉄（当時）総武本線の最寄り駅への連絡が中心でしたが、稲毛駅では西口駅前広場やアクセス道路（稲毛陸橋）の整備が遅れており、バスの乗り入れが困難でした。そのため、稲毛駅へのアクセスを想定していた路線は、開業当初、幕張駅から少し離れた場所に設けられた「幕張駅入口ターミナル」を暫定的な発着点として運行されました。新検見川駅や千葉駅への乗り入れも検討されましたが、駅前空間の制約などから実現せず、幕張ルートが選ばれた経緯があります。

その後、1976年には真砂線（後の高浜線）、千葉線（後の美浜線）が、1978年には磯辺線が運行を開始し、路線網は段階的に拡大しました。特に千葉線の開通により、営業エリアは千葉駅まで広がりましたが、千葉駅周辺でも既存のバス乗り場に余裕がなく、専用の乗り場が確保されました。

稲毛駅西口の駅前広場は1979年に一部が使えるようになり、高洲線が乗り入れを開始。1982年には全面的な利用が可能となり、真砂線も稲毛駅発着となって高浜線と名称を変えました。これにより、暫定的な役割を担った幕張駅入口ターミナルは主要な拠点としての役目を終え、営業所も高洲車庫から高浜車庫へ移転しています。

1986年にJR京葉線が開業し、稲毛海岸駅と検見川浜駅がニュータウン内に設置されると、既存の路線網は大きな再編を迫られました。多くの路線がこれら新駅への接続ルートに変更され、一部では系統の短縮や本数削減が行われました。一方で、翌年には海浜幕張地区への第一歩となる幕張線も開通しています。

平成期には、1997年に発展が進む幕張ベイタウンへの路線を開設。同年には京成電鉄から美浜線と中央港線を譲り受け、これにより運行エリアは美浜区内の広範な地域へと拡大しました。その後も、高洲東線、マリンスタジアム線、高洲2街区線などを順次開設し、路線網の充実を図りました。サービスの面では、2009年にICカード乗車券（PASMO・Suica）に対応し、2021年には一日乗車券の販売を開始。2023年には創立50周年を記念した特別な塗装の車両が登場しました。

主な運行路線

高浜営業所が担当する主な現行路線は以下の通りです。

高洲線: 稲毛駅を起点に、高洲・高浜地区を経由し、稲毛海岸駅や稲毛海浜公園プールへ向かう主力路線です。
検見川線: 新検見川駅と真砂地区、検見川浜駅を結びます。開業当初から新検見川駅発着です。
磯辺線: 新検見川駅から美浜区役所、検見川浜駅を経由し、磯辺地区や海浜病院、稲毛ヨットハーバーまで運行します。
高浜線: 稲毛駅と高浜・真砂地区、稲毛海岸駅などを結ぶ路線。設立初期の真砂線が起源です。
美浜線: 千葉駅と稲毛海岸駅を結ぶ主要路線。かつては京成電鉄と千葉海浜交通が別々に運行していた路線が統合・再編されました。
ベイタウン線: 新検見川駅や海浜幕張駅を起点に、幕張ベイタウンや海浜病院、幕張豊砂駅などを結ぶ、比較的新しい住宅地輸送路線です。
マリンスタジアム線: 稲毛駅、稲毛海岸駅、検見川浜駅などと海浜幕張駅、ZOZOマリンスタジアムを結びます。プロ野球開催時には臨時便も運行されます。
幕張メッセ中央線: 稲毛駅と海浜幕張駅、幕張メッセ中央、幕張豊砂駅などを結び、幕張新都心の主要施設へのアクセスを担います。
プラウドシティ線: 稲毛駅と稲毛海岸駅周辺の住宅地を結ぶ路線で、2025年3月に他の事業者から移管されました。

このほか、夏季の稲毛海浜公園プール利用者向け臨時バスや、特定のイベント開催時のシャトルバス、貸切バスなどの運行も行っています。

かつて運行されていた主な路線

過去には以下のような路線も存在しました。

中央港線: 千葉駅北口から新港地区、中央卸売市場を結んだ路線で、京成電鉄から譲受後に小湊鉄道と共同運行していましたが撤退しました。
磯辺循環線: 検見川浜駅を起点に磯辺地区内を循環するコミュニティバス的な性格の路線でした。
幕張線: 創業時の拠点である幕張駅入口と海浜幕張駅を結んだ路線ですが、利用者の減少などから運行を休止しました。
マイタウン・ダイレクトバス: 東京駅方面への高速路線バスに参入しましたが、後に廃止されました。
イオンお客様専用無料バス: イオン店舗間の無料送迎バスの一部を担当していましたが、現在は他の事業者へ移管されています。
高洲東線: 高洲地区から稲毛海岸駅、海浜病院へ向かう路線でしたが、運行本数が減少し、後に廃止されました。
幕張ベイパーク線: 幕張ベイパーク地区と海浜幕張駅を結ぶ循環路線でしたが、利用状況などから運行休止となりました。

車両

千葉海浜交通（現在の京成バス千葉セントラル高浜営業所）では、創業以来、日野自動車製の車両を主に導入してきました。設立から1990年代後半にかけては、大量輸送と迅速な降車を重視し、定員の多い大型の長尺3扉車が多数派を占め、同社の車両の特色となっていました。しかし、近年は運行する路線の多様化に伴い、住宅地の狭い道に対応できる中型車や、一般的な引戸仕様のノンステップ大型車、環境性能に優れたハイブリッド車など、様々な仕様の車両が導入され、車種のバリエーションが増加しています。運転操作の負担軽減などを目的に、オートマチックトランスミッション（AT）車の導入も積極的に進められています。過去には京成バスからの移籍車両として日野以外のメーカーの車両も在籍したことがあります。車両の塗装は、海浜をイメージした白地に青色のデザインが特徴です。

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