京極駅

京極駅

北海道虻田郡京極町にかつて存在した、日本国有鉄道（国鉄）胆振線の鉄道駅です。電報略号はケフ、事務管理コードは▲131913でした。地域開発の歴史と深い関わりを持つ駅名由来があり、廃止されるまで町の玄関口として利用されました。

歴史

京極駅は、1919年（大正8年）11月15日に鉄道院（国鉄の前身）京極軽便線が倶知安駅から延伸した際に開業しました。当初は終着駅でしたが、翌年の1920年（大正9年）7月15日には脇方駅まで路線が延伸され中間駅となりました。1922年（大正11年）9月2日には京極線と改称。1928年（昭和3年）10月21日には私鉄の胆振鉄道が当駅から喜茂別（初代）まで開業し接続駅となります。胆振鉄道は1941年（昭和16年）に胆振縦貫鉄道に譲渡された後、1944年（昭和19年）7月1日には戦時下の買収により国有化され、胆振線と改称。同時に京極線も胆振線に編入され、京極駅は国鉄胆振線の所属となりました。駅舎は1943年（昭和18年）7月に改築されています。

京極駅は胆振線の主要駅として、1980年（昭和55年）9月まで運行の急行「いぶり」停車駅でした。しかし、駅機能は徐々に縮小します。1970年（昭和45年）11月1日には脇方支線が廃止され、1980年（昭和55年）5月15日には貨物、1984年（昭和59年）2月1日には荷物の取り扱いが廃止され、業務委託駅となりました。1986年（昭和61年）11月1日、胆振線全線廃止に伴い廃駅となりました。

駅名の由来

駅名は、1895年（明治28年）、旧丸亀藩主京極家の子爵、京極高徳氏が開いた「京極農場」に由来します。農場を中心に開拓が進み「東倶知安」と呼ばれる市街地が形成され、1910年（明治43年）の分村時には東倶知安村となりました。1919年（大正8年）、鉄道が開通する際に、東倶知安市街から離れた京極農場の敷地に駅が設置され「京極駅」と命名されました。この場所選定には反対運動もありましたが、後に京極農場が解放されると、駅の存在などを理由に村名も京極村と改称されました。駅名がそのまま町名となった珍しい例と言えます。

駅構造

廃止時、地上駅で列車交換可能な2面3線を有していました。単式ホーム1面と島式ホーム1面です。駅舎側（西側）が下り1番線、島式ホーム（東側）駅舎側が上り2番線、その外側が3番線（側線扱い）でした。両ホームは構内踏切で連絡。1番線倶知安方からは側線が分岐していました。脇方支線は駅南側で分岐していました。業務委託駅で、駅舎は南西側の単式ホームに面していました。

利用状況

1981年度（昭和56年度）の1日平均乗降人員は約254人でした。

駅周辺

京極駅周辺は町役場や郵便局などの公共施設、金融機関などが集まる町の中心部です。駅に近接して北海道道821号京極停車場線が通り、国道276号（尻別国道）も近くを通ります。西へ約2kmには「日本一の水」と称される名水が湧出する噴き出し公園（道の駅あり）。南東へ約5kmには春日渓谷（朝日渓谷）があり、紅葉やイワナ釣りで知られます。駅の西には美しい姿の羊蹄山（蝦夷富士）がそびえます。道南バスの「京極中央」停留所も利用可能です。

駅跡

京極駅の跡地は、農業協同組合の貯蔵施設などの敷地として利用されています。倶知安方には、コンクリートで封鎖された石積みのトンネル坑口（ガル川隧道）がかつての鉄路を偲ばせる遺構として残されています。

隣の駅（廃止時点）

日本国有鉄道 胆振線：東京極駅 - 京極駅 - 北岡駅
日本国有鉄道 胆振線（脇方支線）：京極駅 - 脇方駅

その他

京極駅とその周辺は、映画『男はつらいよ 旅と女と寅次郎』のエピローグの舞台としても使用されました。

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