京極高有

京極高有：豊岡藩を揺るがした改革者の一生

京極高有（きょうごくたかあり）は、但馬国豊岡藩を治めた京極家の第7代藩主であり、豊岡藩京極家においては9代にあたります。安永4年（1775年）、丹後峰山藩主京極高久の子として江戸で誕生しました。家系図によれば五男とされていますが、次男とする説もあります。

若き日の高有は、寛政3年（1791年）、豊岡藩の第6代藩主京極高品の養子となりました。そして同年の5月、高品の隠居に伴い、わずか16歳で家督を相続するという重責を担うことになります。

藩主となった高有は、藩政改革に積極的に取り組みました。寛政6年（1794年）には大坂加番の職務を担い、政治経験を積みます。そして文政6年（1823年）、藩の財政再建を目指し、藩営の産物会所を設立しました。これは、柳行李の流通を独占することで、藩の財政収入を増やすことを目的とした政策でした。

しかし、この改革は容易ではありませんでした。文政8年（1825年）、豊岡町民による産物会所や金銀売買商屋敷の破壊事件が発生。この事件をきっかけに、藩が発行した銀札の価値が暴落し、物価上昇、さらには民衆による暴動へと発展するなど、改革は大きな挫折を味わいます。高有の財政再建策は、結果として失敗に終わってしまったのです。

こうした数々の困難を経験した後、天保2年（1831年）、高有は病気により家督を長男の高行に譲り、隠居しました。そして、天保12年（1841年）、67歳で生涯を閉じます。没日は9月18日とされていますが、7月26日とする説もあります。

高有の生涯は、藩の財政再建という困難な課題に挑み、改革を試みたものの、その結果は必ずしも成功とはならなかったという、複雑な歴史の物語です。彼の改革は、当時の人々の生活や社会情勢に大きな影響を与えた一方で、その失敗は藩政に暗い影を落としました。

高有の家族構成としては、4人の男子と1人の女子がいたと記録されています。その父は京極高久、母は野口氏。養父は前述の京極高品、正室は脇坂安親の娘、継室は松平光悌の娘でした。長男である京極高行は、その後、豊岡藩の8代藩主となります。

京極高有の生涯は、近世日本の藩政における改革の試みとその困難さを示す貴重な事例であり、彼の一代記を通じて、当時の社会情勢や人々の生活を深く理解することができるでしょう。彼の功績と失敗は、現代においても歴史的教訓として学ぶべき多くの示唆を与えてくれます。

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