京極高甫

京極高甫：波乱の生涯を辿った高家旗本

京極高甫(きょうごく たかすけ)は、江戸時代中期に活躍した高家旗本です。寛文2年(1662年)に、京極高国の三男として誕生しました。幼名は高武、高茂、親信と変遷し、通称は杢之助、大膳と称しました。最終的には従五位下侍従・大膳大夫に叙任されています。

高甫の生涯は、決して平坦なものではありませんでした。寛文6年(1666年)、わずか4歳の時に父・高国の改易に巻き込まれ、池田光仲のもとへ預けられるという苦難を経験します。それから14年後、延宝8年(1680年)にようやく赦免されるも、その後の道のりは容易ではありませんでした。

その後、兄である京極高規の養子となり、京極家の家督を継ぐ準備を整えます。元禄12年(1699年)には将軍徳川綱吉に御目見する機会を得、高家としての地位を確立していく礎を築きました。そして、宝永2年(1705年)、高規の隠居に伴い、家督を相続します。同日、弟の京極高林に500石を分知するなど、家督相続に際しては、家中の安定にも配慮した様子がうかがえます。

宝永4年(1707年)には、高家職に就任。従五位下侍従・大膳大夫に叙任され、高家としての地位を確固たるものにしました。高家職は、朝廷との連絡役を務めるなど、重要な役割を担っていました。高甫は、この地位を享保9年(1724年)まで務め、その後辞職しています。

高甫の私生活にも注目してみましょう。彼は正室を迎えず、側室との間に京極高本、北条氏応など3人の男子をもうけています。特に、北条氏応は、玉縄北条家分家の旗本北条新新蔵家の北条氏庸へ養子入りしており、名門北条家との繋がりも見て取れます。この養子縁組は、京極家と北条家の関係強化に貢献した可能性も考えられます。

享保14年(1729年)、68歳で生涯を閉じました。高甫の生涯は、改易という大きな苦難を乗り越え、高家職にまで上り詰めた波瀾万丈なものでした。彼の経験と功績は、江戸時代中期の高家社会を知る上で貴重な資料となります。また、一族や周辺の有力家との関係性も複雑に絡み合い、当時の政治情勢を理解する上でも重要な人物と言えるでしょう。

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