京町 (神戸市)

京町：歴史と文化が交差する神戸の商業地

神戸市中央区に位置する京町は、古くから国際色豊かな街として知られています。かつての外国人居留地エリアにあり、現在もその歴史的雰囲気を色濃く残す、魅力的な町です。

地理的位置と街並み

京町は、旧居留地の東から4番目の筋にあたり、東西に細長く伸びる形状をしています。周囲には、江戸町、海岸通、浪花町、三宮町といった、神戸を代表する地名が隣接しています。高層ビルが立ち並ぶ商業地域であり、近代的なオフィス街の景観が広がっています。丁目による区分けはなく、地番は近隣の旧居留地町々と共有されています。

歴史の変遷：居留地から現代都市へ

京町の町名は、明治5年（1872年）に付けられました。当時の神戸外国人居留地は東西5本、南北8本の道路から構成されており、京町は東から4番目の道路にあたり、幅20.1m、長さ466.2mの広がりを持っていました。その由来は、京都にちなみ、他の道路名と同様に著名な地名から名付けられたと言われています。正式な町名として認められたのは、明治32年（1899年）、居留地の返還後でした。

その後、京町は神戸区、生田区を経て、昭和55年（1980年）からは中央区に所属しています。明治時代から昭和時代にかけて、数々の領事館が京町に置かれていました。フランス領事館、イタリア領事館、ノルウェー領事館、オランダ領事館、アメリカ領事館などがその例です。これらの領事館の存在は、京町が国際貿易の中心地として機能していたことを示しています。また、ボリビア領事館やイギリス領事館も開設され、国際交流の活発さを物語っています。戦後には、ギリシャやスウェーデンの領事館も開設されましたが、その後移転しました。

昭和9年（1934年）には、前町、仲町、北町の各一部が京町に編入され、現在の町域が形成されました。昭和57年（1982年）には、旧東京銀行神戸支店ビルに神戸市立博物館が開館し、地域の文化拠点としての役割も担うようになりました。

人口と経済活動

京町の人口は、時代とともに変遷しています。平成17年（2005年）の国勢調査では定住者は確認されていませんが、昭和63年（1988年）には江戸町を含め164人が居住していました。明治時代から昭和時代にかけては、多くの外国人が居住していたと考えられます。現在では、商業活動が中心となっており、オフィスビルや商業施設が密集しています。

代表的な企業としては、八馬汽船の本社事務所があります。八馬汽船は、神戸港を拠点とする海運会社であり、京町に総務部、経理部、船員管理部、船舶運航管理部などの主要部門が置かれています。

文化と観光

京町には、神戸市立博物館が位置し、考古資料や美術品を展示する文化的施設として、地域住民や観光客に親しまれています。博物館の存在は、京町の文化的な価値を高め、歴史と現代が融合する独特の雰囲気を醸し出しています。

このように、京町は、歴史的背景、地理的位置、経済活動、文化施設など、多様な要素が複雑に絡み合う、神戸を代表する町の一つと言えるでしょう。

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