京都びわこドリーム号

京都びわこドリーム号：首都圏と琵琶湖・京都を結んだ夜行高速バスの歴史

1989年から2019年まで、埼玉県さいたま市、東京都、神奈川県横浜市と、滋賀県、京都府京都市を結んでいた高速バス「京都びわこドリーム号」。その歴史と、前身路線である「マリーン号」について詳細に見ていきましょう。

誕生と発展：競争と統合の時代

1989年、西武バスと近江鉄道の共同運行により「池袋-大津線」として誕生しました。当初は座席指定制で、予約が必要でした。その後、1992年には京浜急行電鉄（現・京浜急行バス）と近江鉄道による「品川・横浜-大津線」の「マリーン号」が開業。同時に「池袋-大津線」は、大宮駅まで延伸し「大宮・池袋-大津線」となりました。

この時代は、地方都市と首都圏を結ぶ高速バス路線が全国的に増加した時期。そのため、同一区間や並行区間で複数の路線が運行される「ダブルトラック」路線が誕生しました。「マリーン号」もその一つでした。しかしながら、運行コストの高さから、競争が激化し、短期間で廃止となる路線も少なくありませんでした。「マリーン号」も2008年1月に廃止されています。

2008年4月、近江鉄道は「大宮・池袋-大津線」から撤退。西日本JRバスが参入し、路線愛称が「びわこドリーム号」となりました。同年、横浜シティエアターミナル(YCAT)への乗り入れを開始。西日本JRバスの参入により、運行体制、路線愛称が変更されたものの、西武バスではしばらく「大津線」の名称も併記していました。

2010年にはワンマン運転に移行。これに伴い、三ヶ日ICでの乗務員交代を考慮したダイヤに変更されました。これは、JRグループ以外の事業者の車両に乗務するJRバスの乗務員という、珍しい形態でした。2015年には京都駅まで路線が延伸、浜大津停留所が廃止。これにより、西武側の正式名称も「びわこドリーム号」に変更されました。

しかし、首都圏-京阪神間の路線は、東海道新幹線との競争に加え、2000年代以降の規制緩和により急増したツアーバスとの競争も激化。低価格競争が繰り広げられ、厳しい状況が続いていました。2017年には路線名称を「京都びわこドリーム号」に変更。そして2019年11月、「ドリームさいたま号」と統合され、運行を終了しました。

運行会社と車両

運行会社は、西武バス（その後西武観光バスに移管）、近江鉄道、西日本JRバス。前身路線である「マリーン号」は、京浜急行電鉄（現・京浜急行バス）と近江鉄道が共同運行していました。

車両は、西武観光バスと近江鉄道は日産ディーゼル・スペースウイングを主に使用。西日本JRバスは、いすゞ・ガーラを使用していました。当初は、西日本JRバスは三菱ふそう・エアロキングのダブルデッカー車両も運行していました。

経路と停留所

「京都びわこドリーム号」の経路は、さいたま市から首都高速道路、東名高速道路、名神高速道路を経由し、滋賀県、京都府京都市に至るものでした。途中、海老名SAと養老SAで休憩がありました。

結論：時代の変化と高速バスの競争

「京都びわこドリーム号」は、高速バスの隆盛期から衰退期までを象徴する路線でした。競争の激化、運行コストの高騰、そしてツアーバスの台頭など、様々な要因が廃止へと繋がったと言えるでしょう。その歴史は、日本の高速バス業界の変遷を物語る貴重な記録です。

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