京都芸術高等学校

京都芸術高等学校

京都芸術高等学校（きょうとげいじゅつこうとうがっこう）は、京都府宇治市に位置する私立高等学校です。美術教育に特化した単科校として知られ、略称として「京芸高」や「京都芸高」と呼ばれています。運営は学校法人京都黎明学院によって行われています。

この学校は、2011年4月1日から全日制課程の高等学校として運営されています。それ以前は昼間定時制の高等学校でしたが、2010年12月に京都府より全日制課程への変更認可を受けました。

沿革

学校の歴史は古く、その起源は1929年に創立された城南技芸女塾に遡ります。1936年には洛南報徳技芸女学校として認可を受け、戦後の1947年には洛南高等技芸学校と改称されました。学校教育法に基づく高等学校としては、1966年に京都高等工芸学校と改称された際に男女共学となり、実質的にスタートしました。

この京都高等工芸学校時代には、高校卒業資格は大阪府にある向陽台高等学校との技能連携によって取得されていました。1983年には高等専修学校として認可を受け、1988年には4年制から3年制の課程へと変更が行われました。

現在の校名である京都芸術高等学校となったのは2001年4月です。この名称変更と同時に美術科のみの単科高校となり、向陽台高等学校との技能連携は解消されました。

大きな転換期となったのは2010年で、京都府から全日制課程への移行が認められました。そして2011年度から全日制高校として新たなスタートを切り、同時に3学期制から前期・後期の2学期制へ移行しました。この年から高大連携の取り組みも開始されています。また、2006年4月からは数学者の秋山仁氏が名誉校長に就任しています。

教育内容

本校は美術科のみを設置しています。1年次は美術の基礎を総合的に学び、2年次進級時に各専門コースに分かれます。

2009年度生までの生徒は、2年次から絵画、デザイン、造形の3コースに分かれて卒業まで学びました。

2011年度以降はカリキュラムが刷新され、絵画表現コース、マンガ文化表現コース、造形表現コース、視覚デザイン表現コース、映像メディアデザイン表現コースの合計5つのコースが設けられています。これらの5コースは、2010年度生以降の生徒に適用され、2年次から選択して専門的に学びます。

教育方針

本校では、日本の豊かな歴史文化への理解を深めつつ、生徒一人ひとりの創造性や個性を伸ばす教育を推進しています。感性豊かな人間性を育むことに重点を置き、人との繋がりや心を大切にする教育を実践しています。美術教育においては、「美と心」をテーマに掲げ、生徒たちが「生きる力」を育むことができる特色あるカリキュラムを提供しています。人権教育の充実、学力の向上を図り、「ぬくもりと、感動と、信頼」に満ちた教育環境を実現することで、文化創造を担う魅力ある学校を目指しています。

特色ある教育と活動

京都芸術高等学校では、美術専門科目として、素描、基礎造形、絵画実習、デザイン実習、造形実習、特別実習、美術史、美術概論など、多岐にわたる科目を学ぶことができます。一般教科も充実しており、国語、数学、理科、地理歴史、公民、外国語、家庭、保健体育、情報といった主要科目を修得します。

2011年度以降のカリキュラムでは、1年次に素描、基礎造形、演習、美術史で基礎を固め、2年次からは絵画、マンガ、造形、視覚デザイン、映像など、各分野の専門性を深める専攻演習科目が導入されています。一般教科においても、新課程として国語表現、古典、数学A、オーラルコミュニケーションなどが加わり、選択演習として大学入学共通テスト対策の科目なども設けられています。

ユニークなエピソードとして、2012年3月には、警察庁が公開した似顔絵を基に、オウム真理教事件で特別手配されていた高橋克也容疑者のものとされる模型を作成したことがあります。この模型が、後に防犯カメラの映像から確認された高橋容疑者の実際の容貌に非常に似ていたことから、警察関係者からも高い評価を受けました。

主な学校行事

年間を通じて、生徒の成長と発表の場となる様々な行事が実施されます。

前期: 入学式、写生実習、修学旅行（写生研修旅行として6月頃に北海道方面で実施されます）
後期: 体育大会、黎明祭（文化祭）、オープンキャンパス、卒業式、進級制作展（1・2年生）、卒業制作展（3年生）

特に卒業制作展は、例年2月下旬頃に京都市美術館別館で開催され、生徒たちの集大成となる作品が展示されます。

制服

制服は、京都高等工芸学校時代の末期から基本的なデザインが引き継がれています。

男子: 淡い青を基調とした詰め襟学生服にスラックスを着用します。
女子: 黒を基調としたブレザー、スカート、赤色のネクタイの組み合わせです。

冬期には、男女共通で灰色のコートを着用します。また、2021年度からは冬季のタイツ着用も認められています。

部活動

生徒たちは以下の部活動に参加することができます。

運動系: スポーツ研究部
文化系: 美術部、漫画研究部、合唱部、茶華道部、アニメーション部

アクセス

最寄りの駅は、JR奈良線および京阪電鉄宇治線の黄檗駅です。また、京都京阪バスを利用する場合は、JR黄檗駅バス停が便利です。

その他

体育の授業は、学校の近隣にある運動場（黎明グランド）や体育館（翠明館）で行われるため、生徒はバスで移動します。体育祭の際には、校舎から黎明グラウンドまで徒歩で移動することもあります。近隣の運動公園を利用して授業を行う場合もあります。

通常の授業は、JR黄檗駅前にある本館校舎（黎明館）で行われています。本館に隣接する入試広報センター（清明館）では、在校生や卒業生の作品が常時展示されており、自由に見学することができます。現在、新たな制作工房や寄宿舎として使用するための新校舎の建設が進められています。

漫画教育にも力を入れており、特に「まんが甲子園」では、2004年から2010年まで7年連続で本選出場を果たしており、これまでに通算11回の出場経験があります。

関連項目

京都府高等学校一覧
日本の美術科設置高等学校一覧

外部リンク

* 京都芸術高等学校公式サイト

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