仁川級フリゲート

仁川級フリゲート

仁川級フリゲート（インチョンきゅうフリゲート）は、大韓民国海軍が保有する先進的な艦艇であり、その建造は次期護衛艦事業（FFX）計画の一環として行われました。1隻あたりの建造費は約120億円（1,100億ウォン）となっています。これらの艦は特に沿岸防備やゲリラコマンドに対抗するために設計されており、韓国海軍の重要な戦力となっています。

来歴

1998年、韓国海軍は従来の艦艇の能力を向上させるために、新しく強化された艦を建造する方針を決定しました。この考えに基づき次期護衛艦事業が立ち上げられ、2006年には現代重工業と基本設計契約が結ばれました。最初は3,000トン級のフリゲートを24隻建造する計画でしたが、進行する中で船体サイズが縮小され、最終的には2,300トン級が6隻建造されることとなりました。

設計

仁川級フリゲートは従来の艦艇に比べて体積が1,000トン以上増量され、多用途性と居住性の向上が求められました。中央船楼型の船型を採用し、低い乾舷とステルス設計の上部構造が組み合わられています。また、機関吸気口と煙突が一体化した構造物が前檣の後部に設置され、右舷側には格納庫が設けられています。ヒリコプター甲板にはDCNS製のハープーン・グリッド着艦拘束装置も搭載されています。

この艦には、国防科学研究所が開発した戦術情報処理装置が搭載されており、90％以上の装備品が国産化されています。主センサーには国産のSPS-550Kが使用され、アクティブ・フェーズドアレイ・アンテナによる3次元レーダーが特徴です。また、艦対艦ミサイルとして国産の海星（SSM-700K）が採用されており、4連装発射筒が2基搭載されています。さらに、巡航ミサイルとしての天竜（VLS発射型）も将来の搭載が予定されています。

艦砲は62口径127mmの単装砲（Mk.45 mod.4）が装備されており、CIWSもファランクス（20mm口径）が使用されています。このフリゲートは毎年海軍で選出される砲術最優秀戦闘艦に選ばれることもあり、その能力の高さが証明されています。

同型艦

仁川級フリゲートは、大韓民国の地方行政区画にちなんだ艦名が付けられています。最初の6隻は2015年までに就役する予定でしたが、実際には2013年に最初の艦が海軍に引き渡され、最終的に2016年までに6隻が揃いました。

建造史

当初計画されていた建造スケジュールは遅延し、最初の艦であるネームシップは2011年4月に進水し、2013年に引き渡されました。同年にはFFX計画のバッチ2（大邱級）の建造が始まりました。現代重工業はこの仁川級を基に、フィリピン海軍向けのホセ・リサール級フリゲートも建造しています。

事件・事故

仁川級フリゲートに関しては、いくつかの問題が報告されています。2014年には納入品の偽装問題が発覚し、本来フランス製の電子機器冷却ファンが台湾製にすり替えられていました。2015年にはドイツ製の操舵機が韓国製に変わっていることも発覚しました。また、建造過程での施工不良も複数見つかり、艦内の重要な部品に関する問題が指摘されています。特に「江原」の建造では、試験中の事故が発生し、固定ピンの不足が原因となりました。

仁川級フリゲートはその高い設計と性能により、韓国海軍の中核を担う艦艇として位置づけられていますが、今後もその性能と信頼性の向上が求められることは免れません。

もう一度検索