仁科盛遠

仁科 盛遠の生涯

仁科 盛遠（にしな もりとお）は、生年が不詳であるが1221年に亡くなった日本の武将であり、信濃仁科氏の初代の祖として知られています。彼は鎌倉時代初期の騎士団に属し、桓武平氏平繁盛の末裔とされています。仁科盛朝を父に持ち、仁科盛次の兄としても名を馳せました。また、家系について異なる説があり、「岩城仁科系図」では盛遠の祖先を平貞盛の子兼忠の子孫に位置づけています。

盛遠は安曇郡仁科荘に居を構え、そこから仁科氏を名乗るようになりました。彼は鎌倉幕府の御家人としての役割を持ちつつ、家族や故郷への奉献を大切にしていました。

熊野参詣と後鳥羽上皇との関わり

彼の人生において特筆すべきは、熊野を訪れた際に後鳥羽上皇の信任を受けた点です。この出会いが彼にとっての転機となり、盛遠は西面武士として朝廷に仕官するようになりました。しかし、この行動は北条義時を中心とする幕府の方針に背くものであったため、彼の所領は没収されてしまいました。後鳥羽上皇は盛遠の処遇を改善するために義時に事情を説明しましたが、義時はそれを拒絶し、結果として盛遠は世の不条理に直面することとなりました。

これらの出来事が影響を及ぼし、1221年の承久の乱が勃発します。この乱では、盛遠は父と共に皇室側について兵を挙げました。大内惟信や友野遠久、志賀五郎、大妻兼澄、福地俊政、井上光清などと同盟し北陸道を派遣し、越中国の礪波山に陣取ります。しかし、北条朝時を中心とする幕府軍との激戦において敗北し、近江国瀬田で命を落としました。

出世とその後の家族

盛遠の次男である仁科次郎三郎盛義は、その後の歴史においても重要な役割を果たしました。彼は1238年に4代将軍藤原頼経が京都に上洛する際に随兵として従い、その名声を高めていくこととなります。

また、盛遠は熊野参詣の後に、現在の大町市に若一王子神社を創建しました。この神社は、彼の信仰の深さや地域への想いを象徴する場所となっています。さらに、1915年には彼の功績を称えて従四位を追贈され、その名声は後世に受け継がれることとなりました。

まとめ

仁科盛遠の一生は、彼自身の苦難や戦いのみならず、時代背景とも深く結びついています。後鳥羽上皇と関わりを持ち、承久の乱に立ち向かった彼の姿は、武士としての誇りと忠義の象徴として、今も日本の歴史の中で語り継がれています。彼の家族や子孫たちもその精神を受け継ぎ、信濃仁科氏として名を馳せることとなります。

もう一度検索