仁頃山

仁頃山（にころやま）

北海道の北見市と常呂郡佐呂間町にまたがる位置にある仁頃山は、標高829.2メートルを測ります。北見山地の南部に属しており、その標高は突出して高いわけではありませんが、周辺に仁頃山を超える山がないことから、山頂からは優れた展望を楽しむことができます。山頂部には国土地理院が設置した一等三角点「似頃山」があり、また警察庁の無線中継所などの施設も設けられています。

山名の由来と地域との関わり

「仁頃」という名は、アイヌ語の「ニ・コル・ベツ・（木を・持つ・川）」に由来するとされています。山の北見市側には仁頃川が流れ、さらにポンニコロ川、ルクシニコロ川、クトンニコロ川といった支流が流れ込んでいます。この名前は、かつてこの地域に豊かな森林があったことを示唆しているのかもしれません。

仁頃山は、地元である北見市民にとって非常に身近で愛されている山です。地域のボランティア団体である「仁頃山愛好会」が存在し、山の自然環境を守る活動や、登山道の維持・整備に積極的に取り組んでいます。彼らの活動によって、多くの人々が安全に、そして快適に仁頃山を訪れることができるようになっています。

多彩な登山ルート

仁頃山には、仁頃山愛好会と森林機関によって丁寧に整備された六つの主要な登山道に加え、一つの連絡道があります。これらのルートはそれぞれ異なる特徴を持ち、訪れる人々は自身の体力や興味に応じて選択することができます。一年を通じて季節ごとの植生や景色の変化があり、何度訪れても新たな発見があります。

以下に主な登山ルートを紹介します。

管理車道：山頂にある無線施設などのための作業道として整備された道で、距離は3.24キロメートルです。道幅が広く、比較的緩やかな勾配が続くため、歩きやすいルートと言えます。途中には「〇合目」の表示があり、山頂までの目安になります。
奥新道：森林機関が整備したルートで、仁頃川に沿って進み、その奥部から山頂へと至ります。距離は3.05キロメートルです。川のせせらぎを聞きながら歩くことができるでしょう。
東新道：これも森林機関が整備したルートで、富里湖の北岸を起点とし、尾根道を経て山頂に向かいます。距離は4.20キロメートルです。尾根からの眺望が期待できます。
中央道：ふれあい橋からスタートし山頂を目指すルートで、森林機関によって整備されました。距離は2.67キロメートルと比較的短めです。山頂近くでは管理車道と合流する区間があります。
東尾根道：仁頃山愛好会が整備した、健脚者向けのルートです。距離は5.98キロメートルと長く、東新道と同じ登山口から入りますが、尾根に登った後一度北へ下り、改めて山頂東側の尾根に取り付いて登るコースです。変化に富んだ道のりを楽しめます。
西尾根道：こちらも仁頃山愛好会が整備したルートで、距離は5.77キロメートルです。奥新道と同じ登山口から南へ進み、尾根に取り付いてからは山頂までずっと尾根上を歩きます。尾根歩きが好きな方におすすめです。
* 横断道：仁頃山の中腹に位置し、管理車道と奥新道を結ぶ短絡ルートです。距離は1.135キロメートルで、異なるルート間を移動する際に便利です。

これらの多様なルートがあることで、初心者から経験者まで、それぞれの体力や好みに合わせた登山計画を立てることが可能です。仁頃山は、美しい自然と地域の人々の努力によって守られ、多くの人々に愛されに開かれた身近な山として、四季折々の魅力的な姿を見せてくれます。

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