今野圓輔

今野圓輔（こんの えんすけ）

今野圓輔は、1914年8月10日に生まれ、1982年7月31日に没した日本の民俗学者です。本名は圓助といいます。毎日新聞社の社員として勤務する傍ら、民俗学の研究に情熱を注ぎました。

来歴

福島県出身の今野圓輔は、1941年に慶應義塾大学文学部国文学科を卒業しました。大学では、佐藤信彦や折口信夫といった著名な学者から民俗学の薫陶を受け、さらに柳田國男に師事しました。これらの出会いが、彼の民俗学者としての道を決定づけたと言えるでしょう。

毎日新聞社に勤務しながらも、日本民俗学会の評議員を歴任するなど、学会活動にも積極的に参加しました。1947年に民俗学研究所が設立された際には、牧田茂や直江広治らと共に、実務面でその設立に大きく貢献しました。研究所の設立に尽力したことは、彼の民俗学に対する深い commitmentを示すものです。

著作

今野圓輔は、数多くの著作を通じて、民俗学の普及に貢献しました。彼の著作は、日本の民俗文化や信仰、怪談などをテーマにしたものが多く、一般読者にも親しみやすい内容となっています。

代表的な著作としては、以下のようなものがあります。

『馬娘婚姻譚―オシラ様信仰の周辺』：オシラ様信仰について論じた著作です。
『怪談―民俗学の立場から』：民俗学の視点から怪談を考察した著作で、社会思想社現代教養文庫から出版され、後に中公文庫からも刊行されました。
『現代の迷信』：現代社会に残る迷信について解説した著作で、こちらも社会思想社現代教養文庫から出版され、後に「日本迷信集」として河出文庫から再刊されました。
『日本怪談集』：幽霊篇と妖怪篇があり、それぞれ社会思想社現代教養文庫から出版され、後に中公文庫から再刊されました。日本の怪談を民俗学的に分析した内容で、多くの読者に支持されています。
『幽霊のはなし』：ポプラ社から出版された児童向けの書籍で、子供たちにもわかりやすく幽霊について解説しています。
『柳田國男随行記』：秋山書店から出版された、柳田國男との交流を記録した貴重な資料です。後に河出書房新社から新版が刊行されました。
『日本の職人』：現代教養文庫から出版された、日本の職人に関する書籍で、多摩芸術学園写真科との共編解説という形で参加しています。

これらの著作は、民俗学の研究者だけでなく、一般の読者にも広く読まれ、日本の民俗文化に対する理解を深める上で重要な役割を果たしました。

参考文献

日本民俗誌大系〈第9巻〉東北（角川書店 1974年）
* 柳田國男随行記 今野圓助（秋山書店 1983年）

今野圓輔は、民俗学者として、また毎日新聞社の社員として、多岐にわたる活動を通じて日本の文化の発展に貢献しました。彼の著作は、今もなお多くの人々に読まれ、日本の民俗学研究に大きな影響を与え続けています。

もう一度検索