仏画

仏画：仏教の世界を描写する芸術

仏画とは、仏教の世界観や物語、信仰心を絵画で表現したものです。その範囲は広く、仏教絵画全般を指す広義の解釈と、密教系宗派の儀式で使用される絵画を指す狭義の解釈があります。

広義の仏画には、仏伝（仏陀の一生を描いたもの）、本生譚（仏陀の過去世の物語を描いたもの）、浄土変相図（極楽浄土の様子を描いたもの。有名な当麻曼陀羅などが含まれます）、来迎図（阿弥陀如来などが迎えに来る様子を描いたもの）、二河白道図（生死の川を渡る様子を描いたもの）、六道絵（六道の輪廻を描いたもの）といった仏教説話画が含まれます。さらに、祖師絵伝（高僧の伝記を描いたもの）、絵巻、祖師図（高僧の肖像画）、禅宗僧の肖像画である頂相、そして一般僧の肖像画なども仏画の範疇に含まれます。

狭義の仏画は、主に密教系宗派の礼拝や儀式に用いられる絵画です。仏（如来）や菩薩、インド古来の神々、そして中国や日本の神々など、様々な宗教的な存在が単身像あるいは群像として描かれています。また、曼荼羅（宇宙曼荼羅、両界[[曼荼羅]]、別尊曼荼羅など）も狭義の仏画に含まれます。曼荼羅は、宇宙や仏の世界観を幾何学模様や象徴的な図像を用いて表現したもので、密教の重要な儀礼用具として用いられてきました。

仏画は、時代や宗派、地域によって様々な様式や表現方法が見られます。例えば、平安時代の繊細で優美な様式、鎌倉時代の力強い表現、室町時代の写実的な描写など、それぞれの時代の美意識や技術が反映されています。また、絵画技法も多様で、水墨画、彩色画、そして金箔や金泥を用いた豪華な装飾が施された作品も多く存在します。特に、飛鳥時代から伝わる截金という技法は、金箔を細く切って貼り付ける高度な装飾技法で、仏画の制作に用いられてきました。

仏画は単なる宗教絵画にとどまらず、当時の社会情勢や文化、信仰の姿を反映した重要な美術作品であり、歴史的・文化的にも貴重な資料となっています。仏画を通して、仏教の世界観や、人々の信仰の深さ、そして日本の美術史の一端に触れることができるのです。様々な仏画を鑑賞することで、それぞれの作品が持つ独特の美しさや奥深さを堪能し、仏教美術の世界に深く浸ることができるでしょう。

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