仏祖歴代通載

『仏祖歴代通載』（ぶっそ れきだい つうさい）は、中国で編纂された仏教の編年史です。古代から元統元年（1333年）に至るまでの仏教史を編年体で記述したもので、全22巻から構成されています。撰者は元代の禅僧、梅屋念常です。

本書は、梅屋念常が長年にわたり各地を遊歴し、仏教史蹟を踏査した結果、従来の仏教史書に不足している点を補うために編纂されました。念常は、諸宗派の伝承や、歴代の宰相・顕官による仏教の外護、禅宗の伝灯といった側面が十分に記述されていないことに気づき、これらの点を重視して本書を著したとされています。

覚岸序によれば、梅屋念常は20年余りの歳月を費やして本書を完成させたとされています。しかし、実際には、『隆興仏教編年通論』の内容を多く踏襲していることが指摘されています。特に、五代までの記述は『隆興仏教編年通論』からの抄出であるとされています。

したがって、本書の特色は、巻18以降の宋代と元代の部分、すなわち全体の約5巻分にあります。ただし、この部分の記述にも、編年体としての厳密さに欠ける点が見られると指摘されています。

撰者である梅屋念常（1282年 - ?）は、松江府華亭県の出身で、嘉興の大中祥符禅寺に住した臨済宗大慧派に属する禅僧でした。晦機元煕（1238年 - 1319年）の門弟として知られています。

本書は、以下の形で刊行・所収されています。

慶長17年（1612年）和刻本（活字本） - 龍谷大学図書館蔵本
『仏祖歴代通載略釈』 - 無著道忠撰の注解書
『縮冊大蔵経』『大日本続蔵経』所収本 - 全36巻
『大正新脩大蔵経』所収本 - 全22巻

参考文献としては、陳垣の『中国仏教史籍概論』（1955年）が挙げられます。

『仏祖歴代通載』は、仏教史研究における貴重な資料であり、特に宋代・元代の仏教史を研究する上で重要な情報源となります。

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