仙台バス

仙台バス株式会社

宮城県岩沼市に本社を置く仙台バス株式会社は、主に貸切バス事業および路線バス事業を手掛ける交通事業者です。地域の特色を反映した車両デザインや、東日本大震災からの復旧といった歴史を持ち、宮城県南部の公共交通の一端を担っています。

沿革

会社の歴史は昭和50年（1975年）に始まります。同年6月10日に「仙台バス株式会社」として仙台市内に設立され、同年9月4日には仙台市沖野に車庫を設置し、本格的な営業運行を開始しました。その後、平成9年（1997年）4月には本社機能を現在の岩沼市に移転しています。

平成23年（2011年）3月11日に発生した東日本大震災では、沿岸部に近かったことから津波による甚大な被害を受けました。当時保有していたバス約半数にあたる12台が流失するという困難に見舞われましたが、これを乗り越え事業を継続しています。

震災からの復旧途上である平成25年（2013年）11月24日には、東北楽天ゴールデンイーグルスのプロ野球日本シリーズ優勝に伴って仙台市内で行われた優勝パレードにおいて、選手らが乗車するオープンバスの運行を担当しました。この際には、株式会社日の丸自動車興業（東京都）から車両5台を借り受けて対応しました。

近年では、特定の地域や需要に応じた路線運行にも力を入れています。平成28年（2016年）8月1日には岩沼市内の臨空地域を結ぶ「臨空循環バス」の運行を開始。さらに平成31年（2019年）3月16日には、仙台駅と仙台空港を結ぶ「エアポートリムジンバス」の運行もスタートさせました。

車両

現在、仙台バスが保有する車両数は21両です。日々の運行に使用されるバスは、三菱ふそう、日野、いすゞといった国内主要3メーカーの製品が導入されています。かつては大型バスにおいていすゞ製の車両が中心的に使われていた時期もありました。

同社の車両の大きな特徴の一つは、その外部塗色デザインです。仙台の歴史や文化を象徴する、仙台藩祖・伊達政宗公や、夏の風物詩である仙台七夕をモチーフにしたデザインが多くの車両に施されており、走る「地域の顔」として親しまれています。

路線

仙台バスは、貸切バス事業と並行して、複数の路線バスを運行しています。

臨空循環バス
岩沼駅東口、館腰駅東口、そして岩沼臨空工業団地や仙台空港周辺を結ぶ循環路線です。平成28年（2016年）8月1日に運行が始まりました。当初は1日24便運行され、1年間の試験運行を経て本運行に移行しましたが、その後、利用状況に応じて複数回減便が行われており、令和2年（2020年）12月10日からは1日12便（午前・午後各6便）で運行されています。
運賃は1回の乗車につき大人300円（小人は半額）で、2枚綴りの回数券（大人用500円）も販売されています。運賃の支払いは現金のみで、岩沼市民バスの乗車券などは使用できません。
運行開始当初は中型・小型の観光バス仕様の車両が使われていましたが、現在はより地域内輸送に適した路線バスタイプの車両が導入されています。

スキーバス「山形蔵王号」
仙台空港と山形蔵王温泉を結ぶ、冬季限定の季節運行路線です。この路線は予約制となっており、予約が入らない場合は運休となる場合があります。1日最大4往復の運行体制が組まれています。

* エアポートリムジンバス（運行休止中）
仙台駅東口（71番のりば）および仙台駅前（63-1番のりば）と仙台空港を結ぶ路線として、平成31年（2019年）3月16日に運行を開始しました。運賃は仙台空港アクセス線と同額帯に設定され、運行開始当初は大人片道650円（後に660円）でした。
令和2年（2020年）4月1日からは、タケヤ交通との共同運行となり、1日9往復のうち仙台バスが3往復を担当していました。
しかし、世界的な新型コロナウイルス感染症の流行に伴う利用者数の大幅な減少を受け、令和2年（2020年）6月1日より運行を休止しています。（なお、共同運行相手であるタケヤ交通は同路線の運行を継続しています。）

関連会社

仙台バス株式会社の関連会社として、旅行業を手掛ける「仙台バスツアーズ株式会社」があります。同社は宮城県仙台市青葉区に拠点を置いています。

仙台バスは、地域の交通を支える事業者として、貸切ニーズへの対応に加え、地域住民や観光客向けの路線運行を通じて、宮城県南部の移動をサポートしています。

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