仙台東道路

仙台東道路の概要

仙台東道路は、宮城県仙台市において計画されている全長約7kmの自動車専用道路です。この道路は、地域高規格道路の計画路線に指定されており、仙台都市圏における重要な交通インフラとなることが期待されています。

仙台圏の自動車専用道路は、環状道路が「仙台〇部道路」、放射状道路が「仙台〇道路」と命名されるのが通例です。例えば、既に供用されている仙台東部道路は、仙台都市圏環状自動車専用道路（ぐるっ都・仙台）の一部を構成しています。それに対し、計画中の仙台東道路は、仙台市都心部と東部を結ぶ東西方向の道路として位置づけられています。

具体的なルートはまだ確定していませんが、構想では仙台市都心部から都市計画道路元寺小路福室線と並走し、仙台東ICと仙台港ICの間で仙台東部道路に接続する案が有力視されています。また、仙台市都心部から放射状に延びる仙台西道路と直結することで、国道45号や国道48号のバイパスとしての機能も担うことが想定されています。これにより、仙台市を東西に貫く基幹道路が形成され、宮城県と仙台市が共同で進めている宮城野原公園総合運動場を中心とした広域防災拠点の機能向上にも貢献すると考えられています。

さらに、この道路が整備されることで、仙台市都心部と三陸自動車道・常磐自動車道が高規格道路で結ばれることになります。仙台駅西側の仙台西道路と東北自動車道との間にもダブルネットワークが構築され、交通渋滞の緩和や災害時の迂回ルートとしての活用が期待されています。

仙台東道路の歴史

仙台東道路の構想は1990年代前半に浮上し、仙台市の強い要望を受け、1994年12月に地域高規格道路の計画路線に指定されました。当初、旧建設省主導で仙台東部道路と一体的な計画が進められようとしましたが、仙台市が建設費用の負担に難色を示したことや、「脱クルマ都市」を掲げたこと、環状道路の整備が優先されたことなどから、計画は事実上凍結されていました。

しかし、導入区間となる予定の元寺小路福室線の整備が進んだことや、2011年の東日本大震災を契機に、災害時の広域幹線道路と仙台市都心部とのアクセス確保の重要性が再認識されました。その結果、仙台東道路の計画が再び検討されるようになりました。

2013年12月19日には、宮城県の呼びかけで国土交通省東北地方整備局、宮城県、仙台市、NEXCO東日本東北支社が参加する「仙台東部地区道路ネットワーク検討会」が開催され、三陸自動車道の利用者が震災前から倍増していることが報告されました。この検討会では、仙台東道路の建設を含めた仙台市東部地区の道路交通網の将来ビジョンを2014年度中にまとめる方針が決定されました。

しかし、建設に積極的な宮城県に対し、仙台市は消極的な姿勢を崩さず、議論は膠着状態が続きました。仙台市の消極的な理由としては、高架橋での建設となるため建設費が高額になること、三陸自動車道などの混雑は復興工事の減少とともに解消される可能性があること、都心部へのさらなる車の流入が懸念されること、仙台市地下鉄東西線を中心とした公共交通による市東部の交通体系構築を目指していることなどが挙げられます。

一方で、国土交通省仙台河川国道事務所は、仙台東道路の整備による物流効率化や防災機能強化、交流圏拡大による観光振興などの必要性を重視し、2018年10月31日に社会資本整備審議会（道路分科会東北地方小委員会）で計画段階評価を実施しました。審議会では事業の必要性が確認されつつも、委員からは「仙台東道路と仙台西道路を直結する案」や「環状道路を介して接続する案」など、複数の意見が出されました。

その後、仙台河川国道事務所は、沿線住民や地域住民、関係機関を対象としたアンケート調査を2019年3月まで実施しました。このアンケートでは、現在の交通網が抱える課題や整備後の重視項目など、道路の必要性や整備方針に関する意見が収集されました。今後は、初回のアンケート結果を踏まえ、ルート比較に関する2回目のアンケートを実施し、社会資本整備審議会で再度議論を経て、対応方針の決定と事業化を目指すことになります。

仙台東道路の計画は、仙台市及び宮城県の交通インフラ整備において重要な位置づけとなるため、今後の動向が注目されます。

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