仙台臨海鉄道

仙台臨海鉄道株式会社

仙台臨海鉄道は、宮城県で貨物輸送を専門とする鉄道事業者です。1970年に、宮城県や日本国有鉄道（国鉄）、仙台港に進出する企業等の出資により設立されました。仙台港の発展とともに、臨海部の産業を支える重要な役割を担っています。

歴史

仙台臨海鉄道の設立構想は、1962年の「新産業都市仙台湾臨海地域開発計画」に端を発します。この計画では、臨海部と内陸部を結ぶ鉄道路線の建設が盛り込まれ、宮城県と国鉄が協議を開始しました。当初、接続案として宮城野駅分岐と陸前山王駅分岐の2案が検討されましたが、最終的に旧海軍工廠への軍用線跡地を活用する陸前山王駅分岐案が採用されました。

1970年、仙台臨海鉄道株式会社が発足し、鉄道建設工事が始まりました。仙台港は1971年に開港し、これに合わせて臨海本線が開業、東北石油仙台製油所への輸送を開始しました。その後、仙台埠頭線（1975年）、仙台西港線（1983年）が順次開業し、輸送ネットワークを拡大しました。

仙台臨海鉄道は、貨物輸送が主ですが、過去に数回、期間限定で旅客輸送も行っています。1987年の「'87未来の東北博覧会」や1997年の「国際ゆめ交流博覧会」では、仙台駅と博覧会会場を結ぶ臨時列車が運行されました。これらの列車には、JR西日本から借用した蒸気機関車が使用されたこともありました。また、2018年には、仙台港に寄港するクルーズ船客向けの臨時アクセス列車が、JR東日本を主体として運行されました。

年表

1970年11月7日：会社設立
1971年9月10日：子会社仙台臨海通運設立
1971年10月1日：臨海本線開業
1975年9月1日：仙台埠頭線開業
1983年4月1日：仙台西港線開業
1988年3月13日：コンテナ輸送開始
1998年4月1日：海上コンテナ輸送開始
2011年3月11日：東日本大震災で被災、甚大な被害
2011年11月25日：一部区間で運行再開
2012年3月16日：仙台埠頭線で運行再開
2012年3月19日：仙台港駅での貨物取り扱い再開
2012年9月7日：臨海本線全線で運行再開
2018年5月7日：西濃運輸専用貨物列車「カンガルーライナーSS60」運行開始

路線

仙台臨海鉄道は、以下の3路線を保有しています。

臨海本線: 陸前山王駅 - 仙台港駅 - 仙台北港駅
仙台埠頭線: 仙台港駅 - 仙台埠頭駅
仙台西港線: 仙台港駅 - 仙台西港駅

車両

現用車両

SD55 103号機: DD55形の機関を換装し出力向上。キリンビールのロゴが特徴。
DE65 1号機: 元JR東日本のDE15形。譲受後、全般検査を実施。
DE65 2号機: 秋田[[臨海鉄道]]から譲受した車両。国鉄色に塗装。
DE65 3号機: 元JR東日本のDE10形。秋田[[臨海鉄道]]で全般検査後、運行開始。
DE65 5号機: 元秋田[[臨海鉄道]]のDE10形。同社の解散に伴い譲受。

廃車車両

SD55 101号機: 1995年製の自社発注機。東日本大震災で被災し廃車。
SD55 102号機: DD55形の機関換装機。東日本大震災で被災し廃車。
SD55 105号機: 元京葉臨海鉄道のKD55形。2021年に廃車。
DD55 12号機: 元鹿島臨海鉄道の車両。2011年解体。
DD55 11号機: 元国鉄DD13形。2001年頃に廃車。
DE10 89, 133, 134, 141号機: 元国鉄DE10形。使用されず解体。

譲渡車両

DD35 1号機: 常盤共同火力より譲渡されたロッド式機関車。衣浦臨海鉄道へ譲渡。
* DD3501: 東北開発岩手セメント工場から譲受。産業振興に譲渡。


仙台臨海鉄道の機関車は、かつて荷主であるキリンビールや東北石油の社章を掲げていましたが、現在は一部を除き外されています。また、機関車の検査は、かつては外部委託されていましたが、現在は一部を自社で実施し、専門業者へ委託する体制を取っています。

事業内容

仙台臨海鉄道は、貨物輸送のほか、JR貨物東北支社から仙台[[貨物ターミナル駅]]、岩沼駅、陸前山王駅の貨物駅業務を受託しています。また、貨車の交番検査も自社で実施しています。子会社として、鉄道利用運送事業を担う仙台臨海通運があります。



仙台臨海鉄道は、仙台港の発展と地域産業を支える重要な物流インフラとして、これからもその役割を果たしていくことでしょう。

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