仙台貨物ターミナル駅

仙台貨物ターミナル駅：歴史と現状、そして未来

仙台貨物ターミナル駅は、宮城県仙台市宮城野区宮城野に位置する、JR貨物とJR東日本が管轄する駅です。東北本線支線（宮城野貨物線）沿いにあり、2011年までは「宮城野駅」として知られていました。

戦後の貨客分離と駅の誕生

戦後、仙台駅は旅客と貨物の両方を扱う混雑した駅となっていました。そこで、1946年、仙台市、宮城県、運輸省の協議により、仙台駅の客貨分離が決定されました。新たな貨物駅は、宮城野原練兵場跡地に建設されることになり、東北本線の長町駅と東仙台駅を結ぶ新しい貨物線が敷設されました。

国鉄は1950年に練兵場跡地を取得し、翌年には民有地も買い増しました。仙台市も鉄道債券を引き受けるなど、駅の建設に大きく貢献しました。1958年に着工、1960年には新しい貨物線が完成し、翌1961年に宮城野駅が開業。同時に、仙台市中央卸売市場への貨物支線と仙台市場駅も開業しました。仙台市場駅と支線は、市場の移転に伴い1974年に廃止されました。

開業当初から、宮城野駅は貨物輸送の要として機能していました。東北新幹線の建設計画が具体化すると、宮城野駅周辺への新幹線駅設置を望む声も上がりましたが、最終的には仙台駅への乗り入れが決定しました。

東北新幹線工事期間中には、仙台駅の夜間工事による間合確保のため、寝台特急の一部が宮城野貨物線を経由して運行されました。この際、一部列車は長町駅に停車し、仙台駅との間には連絡バスが運行されました。

1987年の国鉄分割民営化後も、JR貨物とJR東日本の両社が管理する駅となりました。旅客列車は設定されておらず、貨物駅として運営されてきました。2011年にはJR貨物の営業上の駅名を現在の「仙台貨物ターミナル駅」に変更しました。

広域防災拠点整備と駅の移転計画

現在、仙台貨物ターミナル駅は、JR貨物の車両基地である仙台総合鉄道部に近い岩切地区への移転計画が進められています（2026年度完成予定）。宮城県は、現在の駅跡地を新たな広域防災拠点として整備する計画です。この計画には、災害時の傷病者搬送や物資搬入のためのアクセス確保が重要な要素として含まれています。駅周辺には仙台医療センター、陸上自衛隊仙台駐屯地、霞目駐屯地などがあり、防災拠点として最適な立地条件が揃っています。

移転先の岩切地区には、コンテナホーム、着発線、留置線、検修線を備えた新しい貨物駅が建設される予定です。無人運転トラックや遠隔操縦技術などを導入し、最新のICTを活用した「スマートターミナル」を目指しています。しかし、建設予定地には遺跡が存在するため、発掘調査などの影響で工事が遅延している現状があります。

駅の構造と取扱貨物

仙台貨物ターミナル駅は、16.8ヘクタールの広大な敷地面積を誇る地上駅です。コンテナホーム8面、荷役線13本を有し、大規模な貨物取扱能力を備えています。構内は、着発線を除いて非電化となっており、ディーゼル機関車が構内入換作業を担当しています。駅本屋にはJR貨物仙台営業支店も入居しています。

取扱う貨物は、コンテナ貨物（12フィート、20フィート、30フィートコンテナ、海上コンテナ）と臨時の車扱貨物です。発送貨物には積合せ貨物、清涼飲料水、ビール、食料工業品など、到着貨物には積合せ貨物、紙、化学工業品、清涼飲料水、機械、野菜などが含まれます。産業廃棄物・特別管理産業廃棄物の取扱許可も取得しており、幅広い貨物を扱っています。

利用状況と今後の展望

仙台貨物ターミナル駅は、仙台市周辺、宮城県南部、福島県浜通り北部を主な集配エリアとしています。高速貨物列車は、札幌、盛岡、石巻など東北各地、そして郡山、隅田川、名古屋、福岡など全国各地とを結んでいます。トラック便も、周辺のオフレールステーションと連携して運行されています。

地元からは、宮城野貨物線に旅客列車を設定し、旅客営業を行うという要望も出ていますが、仙台駅を経由できない構造や、宮城野原駅との統合にかかるコストの問題から、実現可能性は低いとされています。

仙台貨物ターミナル駅は、その歴史と役割、そして未来への展望を秘めた、重要な貨物拠点となっています。今後の移転計画の進捗、スマートターミナルとしての新たな機能、そして地域社会との関わりが注目されます。

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