東北開発

東北開発株式会社：東北地方の経済振興を目指した国策会社

東北開発株式会社は、1936年（昭和11年）に設立され、1991年（平成3年）に三菱マテリアル株式会社と合併して消滅した国策会社です。その設立から消滅までの歴史は、東北地方の戦後復興と経済発展の軌跡を映し出しています。

設立の背景

昭和初期、世界恐慌や昭和東北大凶作、昭和三陸地震など、度重なる災害に見舞われた東北地方は疲弊していました。こうした状況を打開し、地域経済を立て直すため、国策会社として東北開発株式会社の前身である東北興業株式会社が設立されました。

東北興業株式会社から東北開発株式会社へ

1936年（昭和11年）に設立された東北興業株式会社は、東北地方に豊富に存在する天然資源を活用し、地域経済の活性化を目指しました。27種類の直営事業を展開する傍ら、115社もの企業への投融資を通じて、地域経済への定着を促しました。また、企業誘致のための工業団地造成も推進するなど、広範な事業活動を展開しました。

1957年（昭和32年）には、特別法に基づき東北開発株式会社へと改組。しかし、法定存続期限の50年を迎えた1986年（昭和61年）に民営化され、セメント会社として新たなスタートを切りました。

事業内容

東北開発株式会社は、セメント、ハードボードの製造販売を基幹事業としていました。その他、土地造成事業や砂鉄事業にも取り組みましたが、経営状況は決して安定していたわけではありません。粉飾決算や贈収賄事件なども発生し、経営改善を迫られる時期もありました。

セメント事業

石灰石を有効活用したセメント事業は、東北開発の基幹事業として発展しました。岩手工場、青森工場の2つの工場を擁し、「カイハツセメント」のブランド名で東北地方のセメント需要を支えました。

ハードボード事業

東北地方に豊富に存在する木材資源の有効活用を目的として、ハードボード（硬質繊維板）の製造も行いました。会津工場では、ハードボードの製造に加え、インシュレーションボード（軟質繊維板）の製造も行いました。

砂鉄事業

青森県下北地域に豊富に埋蔵されている砂鉄の有効活用を目指し、銑鋼一貫方式による特殊鋼工場の建設を計画しました。しかし、需要の減少や技術的な問題などから、事業化は実現しませんでした。

民営化と消滅

1986年（昭和61年）に民営化された東北開発株式会社は、セメント専業メーカーとして再出発しました。しかし、事業規模が小さく、経営の安定性に不安があったため、1991年（平成3年）に三菱マテリアル株式会社と合併し、その歴史に幕を閉じました。

東北開発株式会社の意義

東北開発株式会社は、その設立から消滅までの間、東北地方の経済振興に大きく貢献しました。特に、セメント事業やハードボード事業は、地域経済の発展に大きく寄与しました。また、砂鉄事業は実現しませんでしたが、地域振興に対する強い意志を示すものでした。東北開発株式会社の歴史は、東北地方の戦後復興と経済発展の歴史そのものであると言えるでしょう。

参考文献

東北開発株式会社社史編集委員会『50年の歩み』東北開発株式会社、1990年。

関連項目

加藤祐三郎（副総裁）
葛西清美 （岩木製作所支配人、みちのく銀行頭取）
南部縦貫

外部リンク

* 東北開発記念財団

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