仙台風俗店経営者強盗殺人事件

仙台風俗店 経営者強盗殺人事件

概要

この事件は、2004年 9月4日に宮城県仙台市太白区の山林で発生しました。風俗店の経営者である男性が遺体で発見され、頭部に強い打撃を受けているのが確認されました。この事件は、被害者から多額の現金を強奪することを目的とした強盗殺人事件とみられています。

捜査と逮捕

事件発生後、捜査は長期にわたりました。そして事件から5年後の2009年8月、宮城県警察の暴力団対策課は、この事件に関与したとされるA、B、C、D、Eの5人の人物を監禁の容疑で逮捕しました。その後の調べにより、彼らは共謀の上、被害者の首をロープで絞め、さらにバールのようなもので頭部を殴るなどして殺害し、被害者宅にあった金庫から約5000万円にのぼる現金を奪ったとされました。

このため、2009年8月末に5人全員が逮捕監禁罪および営利目的誘拐罪で起訴されました。さらに同年11月には、A、B、Cの3人が強盗殺人罪で、Dが強盗罪で追起訴され、事件の全容解明が進められました。

裁判経過

逮捕・起訴された各被告に対する裁判は、それぞれ異なる経過をたどりました。

A被告は、本事件の裁判とは別に、1999年に発生した東京都中野区での暴力団組員殺害事件への関与も自供しました。本事件については、2010年 8月27日に仙台地方裁判所で無期懲役の有罪判決が言い渡されました。彼は本事件以前にも覚せい剤取締法違反などの罪で服役していたため、本事件と併合罪とはならず、無期懲役判決が確定しました。なお、1999年の殺人事件に関しても、後に懲役15年の有罪判決が確定しています。

B被告の裁判は複雑な経緯をたどりました。2010年10月、仙台地裁（裁判員裁判）は、強盗殺人のうち殺害行為については、被告が殺害現場でロープを引く行為は行っていないと認定し、強盗致死罪を適用しました。また、A被告が主張した殺害計画への共謀に関する証言には不自然な点があるとして退け、求刑の無期懲役に対し懲役15年の判決を言い渡しました。検察側はこの判決を不服として控訴しました。
2011年7月、仙台高等裁判所は一審判決に事実誤認があるとして、懲役15年の一審判決を破棄し、地裁に差し戻す決定を下しました。弁護側はこの決定に対し最高裁に上告しましたが、2012年3月、最高裁は弁護側の上告を棄却し、高裁の差し戻し決定が確定しました。これは、裁判員裁判で審理された事件が最高裁で差し戻し確定となった初のケースとして注目されました。
差し戻し後の第一審（裁判員裁判）は再び仙台地裁で行われ、2013年2月、求刑通りの無期懲役判決が言い渡されました。しかし、差し戻し後の控訴審（仙台高裁）では、2014年2月に再び懲役15年（求刑無期懲役）の判決となりました。最終的に、2014年4月に弁護側が上告を取り下げたため、懲役15年の判決が確定しました。

C被告は、本事件に加え、1999年の東京都中野区での殺人事件、さらに2000年の亘理町自衛官殺害事件への関与も疑われました。このため、裁判員裁判としては異例の「三区分」と呼ばれる、事件ごとに分けて審理する形式が取られました。本事件に関する一審判決では、ほう助罪で有罪となりましたが、被告は遺体処理などにおける共謀を否定し無罪を主張していました。しかし、2013年4月の仙台高等裁判所での控訴審判決では、一審・仙台地裁（裁判員裁判）が言い渡した求刑通りの無期懲役判決を支持し、検察・弁護側双方の控訴を棄却しました。

D被告の裁判は、本事件における強盗罪などの容疑で行われました。2010年2月、仙台地裁で求刑懲役10年に対し懲役5年の判決が言い渡されました。弁護側は控訴しましたが、2010年7月、仙台高裁は一審判決を支持し、弁護側の控訴を棄却、判決が確定しました。

E被告は、本事件の逮捕監禁・営利目的誘拐罪に加え、2000年の亘理町自衛官殺害事件の容疑もかけられていました。2010年7月、仙台地裁は両事件を併合して審理し、求刑通りの懲役17年の有罪判決を言い渡しました。弁護側はこの判決を不服として控訴しましたが、2010年12月、仙台高裁は一審の懲役17年判決を支持し控訴を棄却、判決が確定しました。

この事件は、長期にわたる捜査の末に複数犯が検挙されたこと、そして裁判員裁判での差し戻しという特異な裁判経過をたどった被告がいたことなど、日本の刑事司法において様々な側面を持つ事例として記録として残っています。

仙台風俗店経営者強盗殺人事件