仙石政美

仙石政美の生涯

仙石政美（せんごく まさよし/まさみつ）は、但馬国出石藩の第6代藩主であり、仙石家9代目の当主であった。彼は第5代藩主仙石久道の長男として生まれ、文化11年（1814年）に父が隠居したことにより家督を継いだ。

政美の治世初期には、藩財政が厳しい状況にあった。その最中、文政2年（1819年）には藩の借金が6万両という巨額に達しており、家臣たちは藩政改革を模索していた。しかし、改革の方針を巡って家臣団の中に対立が生じてしまった。

改革派の中心となった家老仙石久寿（左京）は、生糸の専売および魚市場の育成を推進する重商主義の政策を唱えた。一方で、保守的な立場を取った仙石久恒（造酒業を営む左京の分家筋）は質素倹約を重視した財政再建策を提案し、これが両者の対立を引き起こすことになった。政美は久寿の政策に賛同し、久恒の影響を排除する形で政権を進めた。文政4年（1821年）7月には、久寿を大老に任じて改革を託けることが決定された。

その後、文政7年（1824年）3月16日、政美は江戸へ向かうため出石を出発。しかし、道中に麻疹にかかり、4月5日にようやく江戸に到着するも、残念ながら5月3日にこの世を去ってしまった。享年はわずか28歳という短命であった。政美には唯一の男児である主税がいたが、彼は早逝していたため、政美の死後には跡継ぎが不在となった。

政美の死後の7月12日には、隠居していた父・久道が親族会議を召集し、政美の異母弟である久利を後継とする末期養子とすることが決定された。久道の他の子息である久大と政賢も養子候補に名を挙げられていたが、最終的に久利が選ばれた。また、7月14日には出石藩は政美の死亡を公表した。このような経緯において、仙石左京は嫡子新之助を連れて江戸へ向かったが、その後主家の乗っ取りを狙ったと非難される事態となった。

系譜

政美の父は仙石久道、母は軽子（酒井忠恭の娘）で、正室には錦子（松平信明の娘）がいた。生母不明の子女については記録が少なく、男子の子どもや養子として仙石久利（1820-1897）が名を残している。

政美の短い生涯は、藩政改革における道のりの中に多くの対立と決断があったことを物語っている。彼の死後も出石藩は議論が続き、藩主の後継問題は新たな問題を引き起こすことになる。

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