仙石騒動

仙石騒動（せんごくそうどう）について

仙石騒動は、江戸時代後期の1840年代に出石藩で発生した大規模なお家騒動であり、特にこの時代の日本の政治状況を知る上で重要な事例です。この騒動は、出石藩第6代藩主仙石政美の在任中に引き起こされましたが、財政厳しい藩内の権力闘争が主な原因でした。

騒動の背景

出石藩は、藩内の財政が逼迫していたため、藩政改革が求められていました。第6代藩主仙石政美が藩主に就任したとき、彼の家族内では、政策を巡る激しい対立がありました。この時、仙石政美の方針を支持する筆頭家老の仙石左京と、保守的な意見を持つ財政責任者の仙石造酒の間で意見が対立し、藩政改革の方向が揺らいでいました。左京は重商主義的な政策を推進し、造酒は質素倹約令を強調する中、藩主は左京の政策を支持。内輪の対立が政策運営に影響を及ぼしました。

しかし、改革は順調には進まず、藩士から反発が起き、政美は左京の政策を一時停止し造酒に権限を戻すことを決定します。しかし、政美の死後、藩内の対立はより激化し、騒動は深刻な状態に陥りました。

騒動の始まり

文政7年（1824年）、藩主仙石政美は、参勤交代中に病にかかり、江戸で28歳で死亡します。政美には子がおらず、隠居していた父の久道が後継者を選定するために会議を開きました。筆頭家老の左京が国許の代表として出席する一方で、造酒は自身の実弟を同行させ、不安感を抱えながら会議に臨みました。

会議の結果、久道の十二男で政美の弟である道之助を後継藩主に決定。これにより、藩政の実権は完全に造酒派に移り、左京の改革は全て廃止されました。しかし、造酒派内部での権力争いは依然続き、次第に内紛が生じ、家老たちの対立が表面化していきます。

変動する権力構図

続いて、左京は反撃に出て、藩政の権力を奪い返します。家族に対する俸禄の借り上げ制度を導入し、さらに物産会所を設置して経済政策を進めていきます。これにより左京は再び実権を掌握。しかし、彼の権力拡大は周囲からの反感を買い、暴力的な抗争を招くことになります。

つまり、藩内の権力闘争はますます複雑化し、憎悪や疑念が渦巻くようになりました。左京は老中に贈賄を行うなど、権力を安定させる一方で、他部門からの反発を招いたのです。

混乱と調査

このような騒動が続く中、重臣たちが左京の政策に対して直訴を試みましたが、久道は相手にせず追放を命じます。直訴を行った河野瀬兵衛は、江戸に向かい藩の混乱を訴える動きに出ます。これが発端となり、藩内の争いはさらに激化し、さらには幕府の調査が入ることとなります。

最終的に、調査の結果、左京は罪を問われ、獄門となりました。彼の側近や息子も処分され、知行は減封されることになりました。これにより、藩は大きな打撃を受け、以降も内部紛争が尾を引くこととなったのです。

騒動のその後

仙石騒動の後、出石藩は新藩主のもとでさらに政争が続きました。仙石小太郎は八丈島に流され、その後病で亡くなりました。左京の娘は流浪の身となり、悲運の道を歩むこととなります。藩主久利はやっと実権を握り、親政を始めようとしましたが、藩内の混乱は容易には収束しませんでした。

この騒動は後の文献や講談、歌舞伎などの題材にもなり、当時の日本社会における権力や制度の厳しさを訴えるものとして、今でも語り継がれています。

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