令和元年台風第10号

令和元年台風第10号（クローサ）の記録と被害

令和元年（2019年）8月に発生した台風第10号、アジア名クローサは、日本に大きな影響を与えた台風の一つです。マリアナ諸島で発生し、発達しながら北西に進み、小笠原諸島近海で一時停滞。その後、勢力を弱めながらも日本列島に接近し、広島県に上陸しました。

台風の発生と進路

8月4日頃に形成された熱帯擾乱が発達し、5日には熱帯低気圧となりました。合同台風警報センター（JTWC）は熱帯低気圧形成警報を発令し、6日にはマリアナ諸島の北緯18度30分、東経142度50分で台風第10号が発生。「クローサ（Krosa）」と命名されました。発生当初から「大型」の台風であり、その動向が注目されました。

台風は当初、マリアナ諸島近海を北西に進んでいましたが、8日から11日にかけて小笠原諸島近海でほとんど停滞。8日15時には勢力のピークを迎えました。その後は徐々に勢力を弱め、11日の昼頃から再び北西に進み始めましたが、勢いは衰えていました。12日15時には暴風域が消滅し「超大型」台風となりましたが、14日3時には強風域が縮小し「大型」に戻りつつ再発達しました。

太平洋沿岸では風が強まり、高知県室戸岬では8月15日8時に最大瞬間風速41.1メートルを観測。中国地方を暴風域に巻き込みながら豊後水道を北上し、8月15日11時過ぎには愛媛県佐田岬半島を通過、同日15時頃には広島県呉市付近に上陸しました。その後、日本海に抜け、北上を続けましたが、16日21時に北海道の西の北緯43度、東経138度で温帯低気圧に変わりました。

広島県への台風上陸は、1990年の台風14号以来、29年ぶりのことでした。

被害状況

台風10号による被害は、人的被害、住家被害、交通機関への影響、イベントの中止など、多岐にわたりました。

人的被害: 死者2名、重傷7名、軽傷50名
住家被害: 全壊1棟、一部破損13棟、床上浸水1棟、床下浸水5棟
非住家被害: 2棟

交通機関への影響

8月15日には、山陽新幹線が新大阪駅 - 小倉駅間で終日運休。東海道新幹線も山陽新幹線との乗り入れを中止し、上下55本が運休となりました。九州新幹線も始発から運転本数を減らし、山陽新幹線との直通運転を取りやめました。

在来線では、京阪神地区を発着する特急列車約190本が運休。中国地方（岡山県、広島県、山口県）やJR四国管内（瀬戸大橋線を含む全線）で終日運休となるなど、広範囲で交通が麻痺しました。

イベントへの影響

様々なイベントにも影響が出ました。

第101回全国高等学校野球選手権大会: 8月15日の全試合が中止、翌16日に順延
徳島市阿波おどり: 8月14日・15日の開催が中止
乃木坂46真夏の全国ツアー大阪公演: 8月15日の公演が中止
SUMMER SONIC|SUMMER_SONIC 2019: 大阪会場の一部アーティストの出演中止、東京会場のBEACH STAGEエリアでのライブ中止
RISING SUN ROCK FESTIVAL 2019 in EZO: 初日公演が中止

台風10号は、人々の生活に大きな影響を与えた災害として記憶されています。

関連項目

* 令和元年台風第9号 - 台風10号と同時に存在し、太平洋を北上した台風。

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