令狐楚

令狐楚（れいこ そ）は、766年から837年にかけて唐代に生きた詩人であり、字（あざな）は愨士（かくし）と称しました。彼の家系は敦煌郡效穀県に本貫を持ちますが、早くに宜州華原県へと移り住んだため、華原の人とも呼ばれます。彼は、令狐徳棻の兄である令狐達の末裔にあたり、子には令狐緒、令狐綯、令狐綸がいます。

貞元7年（791年）に進士に及第し、その才能を開花させました。当初は河東節度使の幕僚として活動し、その文才が徳宗皇帝に認められたことが、彼の運命を大きく変える転機となりました。憲宗の時代には、朝廷において重要な役職である中書舎人から、ついには同中書門下平章事、すなわち宰相にまで昇りつめました。これは、彼の才能と努力が朝廷内で高く評価された結果と言えるでしょう。

しかし、穆宗の時代に入ると、朝廷内における激しい派閥争いに巻き込まれ、中央での安定した地位を維持することが困難になります。そのため、彼は地方へと転出し、各地の節度使を歴任することとなりました。これは、彼の政治生命における大きな転換期であり、苦難の始まりでもありました。

その後、敬宗の時代に一時的に復権を果たしますが、再び山南西道節度使に任ぜられ、最終的には任地である興元府でその生涯を終えました。彼の生涯は、才能に恵まれながらも、時代の波に翻弄された波瀾万丈なものであったと言えるでしょう。

彼の作品は、唐詩選にも収録されており、その詩才は後世にも高く評価されています。彼の詩には、自然や人生に対する深い洞察が込められており、多くの人々に感動を与え続けています。

参考文献

* 『唐詩選』（岩波文庫、前野直彬註解）

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