令狐徳棻

令狐徳棻（れいこ とくふん、583年 - 666年）は、中国・唐代の歴史家であり、二十四史の一つである『周書』の主編者としてその名を知られています。彼の出身は敦煌郡效穀県ですが、一族は早くに宜州華原県に移り住んだため、華原の人とも称されます。

生涯

令狐徳棻の家系は、祖父の令狐整が北周の大将軍、父の令狐熙が隋の鴻臚少卿という高位の官職に就いていました。徳棻自身も隋の大業末年に文城県令に任命されましたが、隋末の戦乱を避けるため就任しませんでした。その後、李神通が太平宮を拠点に総管を自称すると、徳棻はその下で記室参軍を務めました。李淵が長安に入ると、徳棻は大丞相府記室に任じられ、唐の建国後は起居舎人に転じ、高祖李淵の側近として仕えました。

武徳5年（622年）、徳棻は秘書丞に転じ、陳叔達らと共に『芸文類聚』の編纂に携わりました。彼は南朝梁、陳、北斉、北周、隋の正史の修訂を奏請し、これが認められると、陳叔達や庾倹らと共に北周の歴史書を編纂するよう命じられました。貞観3年（629年）には、太宗李世民から徳棻と岑文本に周史編纂が重ねて命じられました。貞観6年（632年）、徳棻は礼部侍郎兼修国史となり、彭陽県男の爵位を授かりました。貞観10年（636年）には『周書』の完成を報告し、その功績により貞観11年（637年）には子爵に進みました。また、『貞観氏族志』の編纂も完成させています。

貞観15年（641年）、徳棻は太子右庶子となりましたが、貞観17年（643年）に皇太子李承乾が廃位されると、連座して官爵を剥奪されました。しかし、貞観18年（644年）には雅州刺史として再起しましたが、公の事件で罪に問われ免官となりました。その後、太宗から『晋書』編纂の命が下り、房玄齢の推薦により徳棻は編纂事業に参加しました。『晋書』が完成すると、彼は秘書少監に任じられました。永徽元年（650年）、高宗から律令の編纂を命じられ、再び礼部侍郎となり、弘文館学士を兼ねました。その後、弘文館学士を兼任したまま太常卿に転じ、永徽4年（653年）には国子監祭酒に転じ、崇賢館学士を兼ねました。彼は『高宗実録』30巻を編纂し、その功績により爵位は公に進みました。龍朔2年（662年）、徳棻は引退を許され、金紫光禄大夫の位を加えられ、乾封元年（666年）に私邸で亡くなりました。享年84歳、諡は憲です。

業績と評価

令狐徳棻は、歴史的に重要な二つの業績を残しました。一つは、太宗の即位を奏請する書を募り、「宏文殿に四部の書を聚めて群書は二十余万巻」という規模の図書館を創設したことです。もう一つは、歴史書の編纂において「創修撰之源、徳棻より始まるなり」と評されるほど多大な貢献をしたことです。彼が編纂に関わったとされる二十四史中の『梁書』、『陳書』、『北斉書』、『周書』、『隋書』、『晋書』、『南史』、『北史』の8部は、人々から賞賛を集めました。

令狐徳棻の生涯は、隋末の混乱期から唐の繁栄期にかけて、政治と文化の両面で重要な役割を果たしました。彼の歴史書編纂における功績は、後世の歴史研究に大きな影響を与えました。

伝記資料

• - 『旧唐書』巻73 列伝第23
• - 『新唐書』巻102 列伝第27

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