敦煌郡

敦煌郡（とんこうぐん）

敦煌郡は、中国の漢代から唐代にかけて、現在の甘粛省敦煌市周辺に存在した郡です。その成立から変遷、そして消滅までの歴史を詳細に解説します。

成立と変遷

敦煌郡は、紀元前111年（前[[漢]]の元鼎6年）に、酒泉郡の西部を分割して設置されました。当初は涼州に属し、敦煌、冥安、效穀、淵泉、広至、龍勒の6県を管轄していました。これは、漢王朝が西方への支配を拡大する上で重要な拠点となりました。

王莽の時代には、一時的に敦徳郡と改称されましたが、後[[漢]]の成立とともに敦煌郡の名称に戻されました。後[[漢]]時代も、引き続き6県を管轄し、地域の行政・軍事の中心としての役割を果たしました。

晋代に入ると、敦煌郡は管轄する県を大幅に増やし、昌蒲、敦煌、龍勒、陽関、效穀、広至、宜禾、冥安、淵泉、伊吾、新郷、乾斉の12県を管轄するようになりました。これは、この地域における人口増加や経済発展を反映していると考えられます。

北魏から隋代へ

北魏時代には、敦煌鎮が置かれました。また、孝明帝の時代には瓜州が設置されました。583年（隋の開皇3年）に隋が郡制を廃止した際、敦煌郡は瓜州と改称されました。しかし、607年（大業3年）に州が廃止されて郡が再び置かれると、瓜州は再び敦煌郡と改称されました。この時期には、敦煌、常楽、玉門の3県を管轄していました。

唐代と敦煌郡の終焉

619年（唐の武徳2年）、敦煌郡は唐によって瓜州と改められました。その後、622年（武徳5年）には西沙州、633年（貞観7年）には沙州と相次いで改称されました。742年（天宝元年）には、再び沙州が敦煌郡と改称されましたが、これは一時的なものでした。758年（乾元元年）には、敦煌郡は再び沙州と改称され、以後、敦煌郡の名称が復活することはなく、歴史の舞台から姿を消しました。

敦煌郡は、その成立から終焉まで、時代の変化に応じて名称や管轄地域を変えながら、シルクロードにおける重要な拠点としての役割を果たしました。その歴史は、中国の地方行政制度の変遷や、中央アジアとの交流史を理解する上で貴重な手がかりとなります。

もう一度検索