リュウガン

リュウガン（竜眼、ロンガン）とは

リュウガン（学名: Dimocarpus longan）は、ムクロジ科リュウガン属に分類される常緑性の小高木、またはその果実のことです。日本では「リュウガン」と呼ばれますが、中国語では「龍眼（ロンイエン）」、英語圏では「longan（ロンガン）」と呼ばれています。

名称の由来

リュウガンという名前は、果実を割った時に見える黒褐色の種子と、それを覆う半透明の白い果肉の様子が、龍の眼に見えることに由来します。中国語の「龍眼（ロンイエン）」を日本語で音読みしたものが「リュウガン」です。また、広東語の「lùhng-ngáahn」という発音から、英語で「longan」と呼ばれるようになり、それが日本でも「ロンガン」という名称で使われることがあります。その他、閩南語では「リンギン」、タイ語では「ラムヤイ」、ベトナム語では「ニャン」など、様々な呼び名が存在します。

分布と生育地

リュウガンは、中国南部やインドが原産と考えられています。現在では、果樹として東南アジア地域で広く栽培されており、主な生産地は中国南部の福建省、台湾（南投県や嘉義県が特に有名）、タイ、ラオス、インドネシア、ベトナムなどです。日本では、鹿児島県の大隅半島や沖縄などの一部地域に分布しています。

18世紀には日本でも栽培されていた記録があり、比較的温暖な地域では街路樹としても植えられています。しかし、道路に落ちた果実が異臭を放つことがあるため、日本人にとってはイチョウの並木を連想させる光景かもしれません。

植物としての特徴

リュウガンは、高さ5～10m、高いものでは15mほどになる常緑広葉樹です。葉は革質で、小葉の長さは10～46cmにもなります。花期は春から初夏にかけてで、葉の付け根から花茎を伸ばし、直径6mmほどの黄白色の小さな花を円錐状に咲かせます。花には芳香があります。

果実期は秋で、直径2～2.5cmほどの丸く茶褐色の果実をブドウの房のようにたくさん実らせます。果肉は半透明な白色のゼリー状で、甘く果汁が豊富です。中央には大きな黒褐色の種子があり、この種子と果肉の様子が龍の眼に見えることから、この名前が付けられました。果実は同じムクロジ科のライチに似ていますが、ライチの表面が凸凹しているのに対し、リュウガンの実は表面が滑らかで、色は淡褐色です。独特な香りと味があり、好みが分かれるかもしれません。

利用方法

リュウガンの果実は、生で食べられるだけでなく、乾燥させたものも「龍眼肉」として食用や薬用に広く利用されています。中国料理では、乾燥させたものを佛跳牆（フォーティャオチァン）などのスープに使用します。また、ジュースや缶詰、アイスクリームの材料としても利用されます。

台湾や沖縄では、7月から8月にかけて収穫期を迎えます。収穫された果実は、生で食べるとブドウのような食感で、酸味もあり美味しく味わうことができます。また、マーケットでは缶詰も手軽に入手できます。リュウガンは滋養強壮にも良く、食後のデザートにも適しています。

乾燥させたものは、干しぶどうに似た風味があり、独特の燻製臭が特徴です。これらは漢方薬としても利用されます。

生薬としての利用

漢方では、リュウガンの果肉を乾燥させたものを「竜眼肉（りゅうがんにく）」または「桂円肉（けいえんにく）」と呼び、補血や滋養強壮に効果があるとされています。疲労、不眠、貧血、病後、産後の肥立ちなどに良いとされ、胃腸の働きを助ける効果も期待されています。

リュウガンの仮種皮には、ブドウ糖、蔗糖、酒石酸、脂肪、デキストリン、アデニン、コリンなどが含まれています。酒石酸は鉄分の吸収を促進する作用があり、コリンは副交感神経を刺激して内臓器官の活動を活発にする効果が知られています。


リュウガンは、その独特の風味と栄養価の高さから、世界中で愛されている果物です。生食はもちろん、乾燥させたものも様々な料理や薬として利用されています。もし見かける機会があれば、ぜひその味を試してみてはいかがでしょうか。

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