伊丹市昆虫館

伊丹市昆虫館は、兵庫県伊丹市の豊かな自然環境を持つ昆陽池公園の敷地内に佇む専門博物館です。1990年に伊丹市の市制施行50周年を記念して開設され、以来、多くの人々が昆虫の多様な世界に触れることのできる学びの場として親しまれています。

設立と運営の変遷

開館当初、施設の管理・運営は財団法人伊丹公園緑化協会が行っていました。しかし、組織の効率化を図るため、2013年3月末に協会が解散。これに伴い、伊丹市昆虫館は伊丹市立の施設へと移行しました。現在では指定管理者制度が導入されており、当初は公益財団法人伊丹市文化振興財団が、そして2019年4月1日からは公益財団法人いたみ文化・スポーツ財団がその運営を担っています。

昆虫館の活動を支援し、より深く楽しむための組織として「伊丹市昆虫館友の会」も存在し、様々な活動を通じて昆虫や自然への理解促進に貢献しています。

社会との関わりと役割

伊丹市昆虫館は単なる展示施設に留まらず、社会的な役割も果たしています。2006年から伊丹市で毎年開催されている「鳴く虫と郷町」イベントには、主催者の一員として参加しており、地域の文化・自然イベントに貢献しています。また、東日本大震災で被災した岩手県の陸前高田市立博物館が所蔵していた昆虫標本の修復作業を2011年に実施するなど、災害からの復旧支援にも力を尽くしました。

博物館法に基づく兵庫県教育委員会の指定施設（博物館に相当する施設）であり、日本博物館協会、兵庫県博物館協会、全国科学博物館協議会にも加盟しています。かつては兵庫県阪神北県民局管内に居住する未就学児、小・中学生に対し、「クローバーカード」提示による入館無料措置がありましたが、この制度は2014年3月末に廃止されています。

施設構造と館内紹介

建物は鉄筋コンクリート造（一部鉄骨）で、地上4階、地下1階の構造です。敷地面積は約1,800平方メートル、延床面積は約2,987平方メートルを誇ります。

館内は以下の主要なエリアで構成されています。

1階:
チョウ温室: 昆虫館の最大の見どころの一つ。後述。
生態展示室: 昆虫が生息する環境を再現し、生きた昆虫を観察できる。
第1展示室: 昆虫に関する様々なテーマの展示。
映像ホール: 昆虫に関する映像作品を上映。
特別展示室: 期間限定の企画展示などを開催。
飼育室: （関係者以外立入禁止）
2階:
学習室: 昆虫に関する学習プログラムやワークショップなどに利用。
第2展示室: 標本展示など、より専門的な内容も含む展示。
* 収蔵スペース: （関係者以外立入禁止）

特に注目すべきはドーム状のチョウ温室です。ここでは、伊丹市周辺に生息するチョウと、温暖な沖縄県産のチョウを合わせて約14種類、総計約1000匹ものチョウが一年を通して優雅に舞っています。来館者は間近で色とりどりのチョウが飛び交う様子を観察でき、まるで南国の自然の中にいるかのような体験ができます。

利用案内

伊丹市昆虫館へのアクセスは、公共交通機関が便利です。JR伊丹駅または阪急電鉄伊丹駅から伊丹市営バスに乗車し、「松ヶ丘」または「玉田団地」バス停で下車します。また、JR中山寺駅からも伊丹市営バスを利用し、「松ヶ丘」バス停で降りるルートもあります。

開館時間は午前9時30分から午後4時30分まで（入場受付は閉館の30分前まで）です。ただし、人気のチョウ温室は午前10時に開放されます。休館日は毎週火曜日（火曜日が国民の祝日にあたる場合は翌日休館）と年末年始です。

伊丹市昆虫館