伊勢ノ海部屋

伊勢ノ海部屋の歴史と特徴

伊勢ノ海部屋（いせのうみべや）は、日本相撲協会に所属し、時津風一門に属する、長い歴史を持った相撲部屋です。歴史は1942年に遡ります。当時の9代伊勢ノ海である元小結・柏戸が、独立を決意し春日山部屋の幕内・藤ノ川を引き継ぎ、伊勢ノ海部屋の再興を果たしました。藤ノ川は1942年5月から、柏戸の名を名乗り、共に部屋を盛り立てました。しかし、9代伊勢ノ海は1946年に亡くなり、その後、部屋の力士たちは再び錦島部屋に所属することとなりました。

1949年、柏戸は現役を引退し、年寄・10代伊勢ノ海として再び伊勢ノ海部屋を立ち上げました。彼は横綱・柏戸や関脇・藤ノ川といった名力士を育て上げ、部屋の伝統を引き継ぎました。その後、伊勢ノ海の名は代々受け継がれ、特に3代伊勢ノ海から「柏戸」という四股名は引き継がれてきました。しかし1982年に10代伊勢ノ海が逝去すると、その後の名跡は途絶えてしまいました。ここで重要だったのは、元横綱・柏戸が自ら継承を拒否したことです。

その後、11代伊勢ノ海が名跡を襲名し、部屋を墨田区両国から江戸川区春江町に移転しました。11代伊勢ノ海の指導のもと、部屋は関脇・土佐ノ海や幕内・藤ノ川、さらには北勝鬨などといった強力な関取を輩出しました。さらに、2011年には11代伊勢ノ海が定年退職し、部屋付き親方である11代勝ノ浦が新たに12代伊勢ノ海として再出発しました。12代伊勢ノ海は江戸川区から文京区千石に部屋を移転し、5階建ての自宅マンションを改築する形で土俵を開設しました。

近年の伊勢ノ海部屋では、2021年に鏡山部屋が閉鎖し、同部屋の協会員を受け入れることで新たな力士が加わりました。また、2022年には宮城野部屋からの転属を受け入れ、さらに2024年には陸奥部屋の力士を迎えるなど、部屋の活動は活況を呈しています。12代伊勢ノ海の時代には、弟子たちの中から関脇・勢や小結・錦木といった関取が巣立っています。

伊勢ノ海部屋は、独特の伝統を守り続ける部屋でもあります。江戸時代からのルーツを持つこの部屋では、所属力士にはその由来が伝えられた四股名が与えられます。そして、力士が出世するにつれて、より威厳ある四股名を名乗ることが期待され、最終的には「柏戸」という名にたどり着くことを目指します。このような文化は、親方の現役時代の四股名の一部を取るという、現在の他の部屋の主流とは異なります。

現在の部屋の所在地と師匠・弟子たち

伊勢ノ海部屋は、東京都文京区千石に位置し、都営地下鉄三田線千石駅から徒歩2分の距離です。現在の師匠である12代伊勢ノ海のもとには、力士や部屋付き親方が揃っており、部屋の成長と強化に努めています。これからも伊勢ノ海部屋は、その独自の伝統を大切にしながら、多くの力士を育てていくことでしょう。

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