伊勢文化舎

伊勢文化舎：三重県の文化を紡ぐ出版社

有限会社伊勢文化舎は、三重県伊勢市に拠点を置く出版社です。地域に根ざした雑誌『伊勢人』の編集・発行を中心に、三重県の知られざる文化や魅力を発掘し、広く発信しています。

概要

伊勢文化舎は、かつて『伊勢志摩』、そしてその後継誌である『伊勢人』を刊行していました。これらの雑誌では、御木本幸吉や竹内浩三といった郷土ゆかりの人物、伊勢春慶や伊勢暦などの伝統文化を数多く紹介。地域文化の掘り起こしに大きく貢献しました。

また、伊勢神宮を構成する125社を巡る「125社めぐり」を企画し、熊野古道の魅力を三重県民に伝え、世界遺産登録への機運を高めました。その結果、三重県側の古道が「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として世界遺産に登録される原動力となりました。

編集部員は20代、30代の若手が中心で、女性や若年層にも興味を持ってもらえるような記事づくりを目指しています。

歴史

1981年、中村賢一氏が鳥羽市の出版社に企画を持ち込み、『伊勢志摩』が創刊されました。中村氏は印刷会社でパンフレット制作に携わっており、コピーライターの乾淳子氏と「旅人と伊勢を結ぶ雑誌を作りたい」という想いから創刊に至りました。当時の編集スタッフはわずか3名でした。

1983年、中村氏は独立し、伊勢市に「伊勢志摩編集室」を設立。1991年には、丁寧な取材が評価され、NTTタウン誌大賞奨励賞を受賞しました。

1997年、『伊勢志摩』は創刊100号を達成。記念パーティーが開かれ、翌1998年には社名を「伊勢文化舎」に変更しました。2000年には、雑誌名を『伊勢志摩』から『伊勢人』へと改題し、より文化的な内容へとシフトしました。

2011年には、『伊勢人』創刊30周年を記念した企画展が開催され、2014年には本社を伊勢市船江に移転しています。

主な刊行物

『お伊勢さんの遷宮』（1993年）: 雑誌『伊勢志摩』で8年間連載された神宮式年遷宮の記事をまとめた書籍。
『伊勢のお木曳 町衆の心と技を伝える』（2006年）: 神宮式年遷宮の行事の一つである「お木曳」に焦点を当て、76の奉曳団の写真や歴史を紹介。
『純粋彫刻論』（2012年）: 伊勢出身の彫刻家・橋本平八の遺稿を復刻。三重県立美術館や三重県印刷工業組合と共同で復刊。
伊勢人: 伊勢文化舎が発行する雑誌。2000年に『伊勢志摩』から改題。三重県の歴史や文化、食などを深く掘り下げた内容が特徴でしたが、2007年に休刊。その後は不定期で発行されています。また、フリーペーパー『いせびとニュース』も発行していましたが、こちらも2014年に休刊しました。

伊勢文化舎は、雑誌や書籍を通じて三重県の文化を伝え、地域を盛り上げる活動を続けています。

もう一度検索