伊勢英子

伊勢英子について

伊勢英子（いせ ひでこ、1949年5月13日 - ）は、日本の絵本作家であり、しばしば「いせひでこ」名義でも活動しています。北海道旭川市（出生地は札幌市）出身で、実父は日展画家という芸術的な環境で育ちました。13歳で上京し、チェロの指導を受けるなど、幼少期から芸術に親しんでいました。夫はノンフィクション作家の柳田邦男氏です。

来歴と人物

東京芸術大学美術学部デザイン科を卒業後、フランスでイラストレーションを学びました。38歳の時に眼疾患により右目の視力を失うという困難を経験しましたが、その経験も彼女の作品に深みを与えています。1999年刊行の『はじまりの記憶』の巻頭対談から、柳田邦男氏とは連載開始時にはまだ結婚していなかったことが分かります。

作風と特徴

伊勢英子の作品は、繊細な筆致と色彩感覚、そして物語性豊かな描写が特徴です。絵本だけでなく、挿絵や翻訳など多岐にわたる分野で活躍しています。彼女の作品は、子供から大人まで幅広い世代の読者に愛されており、その温かいまなざしと深い情感が多くの人々の心を捉えます。

受賞歴

彼女の作品は数々の賞を受賞しており、その才能は広く認められています。

1985年：「むぎわらぼうし」（竹下文子作）で絵本にっぽん賞、「だっくんあそぼうよ」シリーズ（末吉暁子作）で産経児童出版文化賞。
1988年：「マキちゃんのえにっき」で野間児童文芸新人賞。
1993年：「モモちゃんとアカネちゃんの本」シリーズ6冊目「アカネちゃんとなみだの海」（松谷みよ子作）で赤い鳥さし絵賞。
1994年：「グレイがまってるから」で産経児童出版文化賞。
1996年：「水仙月の四日」で産経児童出版文化賞美術賞。
2007年：「ルリユールおじさん」で講談社出版文化賞絵本賞。

主な著作

彼女の主な著作には以下のようなものがあります。

『あかちゃんなんかすててきて』
『おねえちゃんていいな』
『カザルスへの旅』
『マキちゃんのえにっき』
『新編マキちゃんのえにっき』
『いせひでこのあかちゃん絵本』シリーズ
『おばあちゃんだいすき』シリーズ
『グレイがまってるから』
『ぶう』
『気分はおすわりの日』
『空のひきだし』
『雲のてんらん会』
『グレイのしっぽ』
『1000の風1000のチェロ』
『絵描き』
『ふたりのゴッホ ゴッホと賢治37年の心の軌跡』
『ルリユールおじさん』
『旅する絵描き パリからの手紙』
『にいさん』
『大きな木のような人』
『七つめの絵の具』
『まつり』
『木のあかちゃんズ』
『チェロの木』

共著

夫である柳田邦男氏との共著も多数あります。

『「死の医学」への日記 画集』
『見えないものを見る 絵描きの眼・作家の眼』
『はじまりの記憶』

挿絵作品

数多くの作品で挿絵も担当しています。

『むぎわらぼうし』（竹下文子作）
『ひょうのぼんやり おやすみをとる』（かどのえいこ作）
「モモちゃんとアカネちゃんの本」シリーズ（松谷みよ子作）
『アーモンド入りチョコレートのワルツ』（森絵都作）
『はくちょう』（内田麟太郎作）
『はじまりの記憶』（柳田邦男作）
『雲のピアノ』（あまんきみこ作）
『花の館に』（三輪裕子作）
『グラタンおばあさんとまほうのアヒル』（安房直子作）
『山のいのち』（立松和平作）
『海のいのち』（立松和平作）
『12歳、ぼくの夏』（江崎雪子作）
『小さいおかあさん』（宮川ひろ作）
『おとうさんのおんぶ』（宮川ひろ作）
『ボーイフレンドは転校生』（菅生浩作）
『一つの花』（今西祐行作）
『にじ』（さくらいじゅんじ作）
『秋桜』（さだまさし作）
『けんちゃんのもみの木』（美谷島邦子作）
宮沢賢治作品
『よだかの星』
『ざしき童子のはなし』
『風の又三郎』
『水仙月の四日』

翻訳

海外の絵本の翻訳にも携わっています。

『ちびけちゃんにもやらせて!』（ミレイユ・ダランセ）
『いつまでねてるレオンちゃん』（アンヌ・ロラデュー文、ミレイユ・ダランセ絵）
『さとりいぬのこりない一日』（ラファエル・ティエリー）
ジル・バシュレ作品（「おつきさま、こうずい、さかさま、とおりすがり、ひとりぼっち、まぼろし」の六冊）
『世界一ばかなわたしのネコ』
『わたしのネコが小さかったころ』
『世界一ばかなネコの初恋』
『不思議の国のシロウサギかあさん』
『テオ もうひとりのゴッホ』（伊勢京子共訳）

まとめ

伊勢英子は、絵本作家としての活動にとどまらず、挿絵や翻訳など多岐にわたる分野で才能を発揮しています。彼女の作品は、繊細な描写と深い情感で読者の心を捉え、多くの人々に感動を与え続けています。

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