伊勢電気鉄道デハニ101形電車

伊勢電気[[鉄道]]デハニ101形電車は、1926年に伊勢電気[[鉄道]]が導入した制御電動車です。同時期に製造されたデハニ111形も、主要機器や車体がほぼ同一であるため、本稿では併せて解説します。両形式とも、最終的には近畿日本[[鉄道]]（近鉄）に所属していました。

導入の背景

伊勢電気[[鉄道]]（伊勢電）は、現在の伊勢[[鉄道]]とは異なる鉄道会社で、四日市と津を直接結ぶ路線を計画していました。1915年に一部区間が開業した後、延伸を重ねて1924年に全線が開通しましたが、同時期に自動車や省線（国鉄）との競争が激化し、利用客が減少。そこで伊勢電は、高頻度・高速運転を行うために電化を決定し、1926年にデハニ101形を製造しました。

車種構成

デハニ101形とその同型車は、以下の通りです。

デハニ101形: 制御電動車（1926年11月竣工、101 - 106号車）
デハニ111形: 制御電動車（1927年8月竣工、111 - 112号車）

製造はいずれも川崎造船所が担当しました。

車体

両形式とも、15m級の半鋼製車体を採用しています。側面の窓配置は共通で「1D'1D12D1」（D'は手荷物用扉）ですが、前面形状が異なります。デハニ101形は非貫通の3枚窓、デハニ111形は貫通型の3枚窓です。どちらも両運転台で、デハニ101形は手動扉でした。通風器は、おわん型を採用しています。

車体塗装は、当初はあずき色でしたが、関西急行鉄道（関急）に合併された際に緑色に変更され、その後1959年頃からは近鉄マルーンとなりました。

主要機器

両形式とも、主要機器は共通です。主電動機はK7-653A（48kW）を4基搭載し、吊り掛け式で装架。制御器はHL形、ブレーキは非常直通ブレーキを採用しています。台車は、ボールドウィンA型です。

改造と改番

伊勢電を合併した参宮急行電鉄は、1941年にに関西急行鉄道（関急）に改組。この際、以下の通り改番されました。

デハニ101形（101 - 106）→ モニ5101形（5101 - 5106）
デハニ111形（111 - 112）→ モニ5111形（5111 - 5112）

戦時中、モニ5101形は混雑対策として、出入口付近の座席が撤去されました。1953年頃からは、モニ5101形に対して更新修繕が実施され、雨樋の設置や自動扉化、制御器のABN化、ブレーキの自動空気ブレーキ化などが行われました。モニ5111形も、1957年と1959年に同様の更新修繕を受けましたが、両運転台のまま荷物室を撤去し、乗務員室扉を設置するなどの違いが見られました。この改造により、モニ5111形はモ5111形に形式変更されました。

1957年からはモニ5101形に対して客室側の運転台を撤去する片運転台化と撤去した側の貫通形への改造が実施されました。

* モニ5111形（5111 - 5112）→ モ5111形（5111 - 5112）

詳細な改造時期は不明ですがモ5111形については1960年頃までにブレーキをA動作弁の自動空気ブレーキに改造されています。
1964年にはモニ5101形の前照灯をシールドビームへ変更、2灯化されています。

運用と廃車

両形式とも、伊勢電気[[鉄道]]本線で運用され、合併後も近鉄名古屋線系統で使用されました。モニ5101形は当初単行運転でしたが、後に吉野線から転属した車両と2両編成を組むこともありました。1959年の名古屋線改軌の際、モニ5101形は養老線に転属。モ5111形は伊勢線で使用されましたが、伊勢線の廃止に伴い養老線に転属しました。その後、養老線へのATS導入に伴い、1970年～1971年にかけて全車が廃車となり、形式消滅しました。

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