伊号第二十一潜水艦

伊号第二十一潜水艦：太平洋戦争を駆け抜けた潜水艦の軌跡

伊号第二十一潜水艦は、大日本帝国海軍が昭和12年（1937年）に計画、昭和14年（1939年）に川崎重工業神戸造船所で建造された伊十五型潜水艦（巡潜乙型）の4番艦です。同型艦の中では4番艦として、太平洋戦争において重要な役割を担いました。

激動の太平洋戦争

昭和16年（1941年）7月15日の竣工後、伊号第二十一潜水艦は横須賀鎮守府に所属、伊号第二十二潜水艦と共に第六艦隊第1潜水戦隊第3潜水隊を編成しました。これは、昭和7年（1932年）に解隊されて以来、5代目となる部隊でした。

太平洋戦争開戦時には、真珠湾攻撃に参加する艦隊と共にハワイを目指しました。攻撃後にはオアフ島北方沖で哨戒任務を行い、アメリカ海軍の空母や巡洋艦を発見したものの、機関故障により攻撃は失敗に終わりました。その後も、アメリカ西海岸沿岸で通商破壊作戦に従事し、数隻のアメリカタンカーを撃沈する戦果を挙げました。

昭和17年（1942年）に入ると、伊号第二十一潜水艦はトラック島を拠点に、ソロモン諸島方面で活動。アメリカ海軍の空母ヨークタウンから発進した攻撃機からの攻撃を受け、損傷を受けながらもヌーメア近海でアメリカのリバティ船を撃沈しました。さらに、ニューカレドニア近海でギリシャの貨物船を撃沈し、オーストラリア近海ではシドニー港攻撃に参加。特殊潜航艇による攻撃を支援し、アメリカ重巡洋艦シカゴを発見するなど、活発な活動を続けました。このシドニー港攻撃では、搭載機の着水時に転覆事故が発生し、乗員を救助するなど、困難な状況下でも任務を遂行しました。

その後も、伊号第二十一潜水艦はオーストラリア近海で通商破壊作戦を継続し、数隻の輸送船を撃沈、損傷させました。昭和18年（1943年）に入ると、キスカ島撤退作戦に参加し、日本軍の撤退を支援しました。

最期の戦い

昭和18年（1943年）9月以降も、伊号第二十一潜水艦はソロモン諸島方面で哨戒任務を行い、アメリカ海軍艦船の攻撃を続けました。しかし、11月27日、タラワ北西沖で複数のアメリカ艦船を発見したのを最後に消息不明となりました。アメリカ側の記録によると、11月29日、タラワ近海でアメリカ護衛空母シェナンゴから発進したTBFアベンジャーによって撃沈され、艦長稲田洋中佐以下乗員101名全員戦死したとされています。

戦果

伊号第二十一潜水艦は、太平洋戦争において9隻の敵艦を撃沈し、合計53,538トンの戦果を挙げました。これは、帝国海軍潜水艦の中でも4位に相当する戦果です。さらに、3隻の商船に損害を与え、合計23,816トンの損害を与えました。

歴代艦長

伊号第二十一潜水艦の歴代艦長は以下の通りです。

艤装員長：入江達 中佐（昭和16年1月31日～昭和16年7月15日）
艦長：入江達 中佐（昭和16年7月15日～昭和16年10月31日）
艦長：松村寛治 中佐（昭和16年10月31日～昭和17年3月16日）
艦長：稲田洋 中佐（昭和17年3月16日～昭和18年11月29日戦死）

伊号第二十一潜水艦は、太平洋戦争における日本海軍の潜水艦戦を象徴する艦艇の一つとして、その勇猛果敢な戦いぶりは後世に語り継がれるべきでしょう。

もう一度検索