伊号第二十三潜水艦

伊号第二十三潜水艦：太平洋戦争における活躍と悲劇的な最期

伊号第二十三潜水艦は、大日本帝国海軍が昭和12年（1937年）に計画した伊十五型潜水艦の5番艦です。横須賀海軍工廠で建造され、昭和14年（1939年）11月24日に進水、昭和16年（1941年）9月27日に竣工しました。竣工と同時に横須賀鎮守府籍となり、第六艦隊第1潜水戦隊第3潜水隊に編入されました。

真珠湾攻撃と通商破壊作戦

太平洋戦争開戦時、伊号第二十三潜水艦は第六艦隊に所属していました。真珠湾攻撃では、被弾した味方機の誘導を行い、攻撃後にはハワイ北方沖に進出しました。その後、アメリカ西海岸沿岸での通商破壊作戦に参加し、カリフォルニア州沖でタンカーへの攻撃を試みましたが、命中しませんでした。作戦期間中は、ハワイ近海やパルミラ環礁周辺で哨戒活動を行い、アメリカ軍の哨戒機や艦艇と幾度か遭遇、交戦寸前となる場面もありました。

クェゼリン基地での攻撃と消息不明

1942年（昭和17年）1月、伊号第二十三潜水艦はクェゼリンに帰投しました。しかし、クェゼリン基地がアメリカ軍の空襲を受けると、伊号第二十三潜水艦は特設潜水母艦靖国丸と共に応戦し、爆弾の破片による損害を受けました。その後、K作戦に参加し、ハワイ島周辺海域で気象通報や撃墜された飛行艇の乗員救助を任務とする中、2月24日にハワイ近海での報告を最後に消息不明となりました。アメリカ側にも記録がなく、艦長である柴田源一中佐以下乗員96名全員が行方不明となり、戦死認定されました。4月30日には除籍されています。

伊号第二十三潜水艦の艦歴概要

計画: 昭和12年（1937年）
起工: 昭和13年（1938年）12月8日
進水: 昭和14年（1939年）11月24日
竣工: 昭和16年（1941年）9月27日
所属: 第六艦隊第1潜水戦隊第3潜水隊
主な活動: 真珠湾攻撃、ハワイ近海哨戒、アメリカ西海岸沿岸通商破壊作戦
消息不明: 1942年（昭和17年）2月24日
戦死認定: 1942年（昭和17年）2月28日
除籍: 1942年（昭和17年）4月30日

歴代艦長

伊号第二十三潜水艦の艦長には、以下の将官が就任していました。

艤装員長: 佐野孝夫中佐、井上規矩少佐
艦長: 柴田源一中佐

参考文献

雑誌「丸」編集部『写真 日本の軍艦 第12巻 潜水艦』光人社、1990年
外山操『艦長たちの軍艦史』光人社、2005年
福井静夫『写真日本海軍全艦艇史』ベストセラーズ、1994年

結論

伊号第二十三潜水艦は、太平洋戦争において重要な役割を果たした潜水艦の一つでした。真珠湾攻撃への参加やアメリカ西海岸沿岸での通商破壊作戦は、その活躍を物語っています。しかし、1942年2月、ハワイ近海で消息不明となり、乗員全員が戦死したという悲劇的な結末を迎えました。その功績と犠牲を、私たちは決して忘れてはならないでしょう。伊号第二十三潜水艦の艦歴は、太平洋戦争の激しさと、その中で戦った人々の勇気と犠牲を改めて私たちに突きつけます。

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