伊号第四百潜水艦

伊号第四百潜水艦について

伊号第四百潜水艦は、大日本帝国海軍の第二次世界大戦中において重要な役割を果たそうとしていた潜水艦です。この艦は、伊四百型の一番艦として、実際には非常に独創的な構造を持っており、いくつかの特異な特徴を備えています。その中でも特に目を引くのは、艦内に3機の特殊攻撃機『晴嵐』を搭載できる能力と、地球を半周することのできる長大な航続距離です。これにより、本艦は当時の日本海軍の最も秘密の武器として評価されていました。

機能と目的

伊号第四百潜水艦の主な目的は、アメリカ西海岸の艦隊やパナマ運河への攻撃でした。しかし、艦が完成した時点では、日本は本土周辺の制海権や制空権を完全に喪失しており、この艦が果たすべき役割はほぼ消失してしまいました。そのため、この潜水艦は理想的な条件で運用されることはありませんでした。

発見と調査

2013年8月、ハワイ諸島オアフ島の南西沖で、ハワイ海底研究所が伊号第四百潜水艦の残骸を発見しました。この発見はアメリカ海洋大気庁を通じて米国国務省や日本政府に確認され、同年12月に公表されました。2015年には、NHKがハワイ大学と共同で行った調査の結果、艦の残骸が撮影され、『晴嵐』の格納筒が映し出されるなど、大きな注目を集めました。艦の船体は正しい向きで沈んでいましたが、中央には魚雷が命中した大きな穴があり、破損した船首部も確認されました。

格納塔の扉は外れて海底に落ちており、格納塔自体も船体から分離していました。さらに、格納塔に一体化される形で設置された司令塔は横倒しになっていました。2016年には、艦の船鐘が回収され、その後USSボーフィン潜水艦博物館での展示が予定されています。

艦歴

伊号第四百潜水艦は1943年1月18日に呉海軍工廠で起工され、同年12月22日には命名されました。進水は1944年1月18日で、同年12月30日には竣工しました。艦は連合艦隊第6艦隊第1潜水隊に所属し、内海での訓練を行いました。1945年の4月には大連で燃料を補給し、5月には内地に戻りました。

6月には七尾湾で艦載機の訓練を行い、7月20日に呉湾を出撃しました。その後、ウルシー攻撃のために出港しました。しかし、8月にはモーター室火災を起こし、修理が必要になるなど艦の運用に影響が出ました。

終戦を迎えたのは8月15日で、米軍艦に発見されたのは8月27日でした。それからの運命は厳しく、艦は8月30日に横須賀港に帰港し、9月15日に除籍されました。1946年1月にはアメリカ本土に回航され技術調査を受け、同年6月4日には魚雷によって撃沈されました。

この艦は、歴史の中で重要な役割を果たすことができなかったものの、特異な設計と能力から長い間記憶に留まる存在となっています。

もう一度検索