伊地知貞馨

伊地知貞馨（いじち さだか）

伊地知貞馨は、幕末の薩摩藩士であり、明治時代には官僚として活躍しました。別名として堀次郎とも呼ばれます。

生涯

薩摩藩の若手藩士たちが結成した誠忠組に参加し、当初は堀を名乗っていました。藩の実権を握っていた島津久光は、過激化しがちな誠忠組を懐柔するため、伊地知を側近に抜擢し、御小納戸役に任命しました。この時、藩命により次郎と改名しましたが、後に小太郎と再改名しています。

当初、伊地知は久光の側近として大久保利通と並び、京都や江戸で他藩との交渉に奔走しました。文久元年（1861年）には、幕府改革を目指す久光の出兵計画を円滑に進めるため、藩主・島津忠義の参勤を遅らせる奇策として、国元の指示を受け、江戸藩邸を自ら焼き払いました。この「火災被害」によって、忠義は江戸への出府を遅らせることができましたが、翌文久2年（1862年）、幕府によって薩摩藩の自作自演であることが発覚し、伊地知は主犯格として処罰されました。この際、藩命により伊地知壮之丞と改名しています。その後、江戸から鹿児島に檻送され、薩摩藩の政治活動の第一線から退くことになりました。

政治の表舞台から退いた後、伊地知は貨幣局に出仕し、琉球での在番、史書の編纂などに携わりました。慶応年間には、薩摩藩とイギリスやオランダとの貿易交渉にも従事しています。

明治維新後は内務省に出仕しましたが、長年の盟友であった内務卿・大久保利通から、琉球から賄賂を受け取ったことを咎められ、免職となりました。彼の墓は青山霊園にあります。

主な史書として『沖縄志略』や『沖縄志（琉球志）』をまとめています。

また、次男に小倉鉄道社長を務めた伊地知壮熊、娘に伊地知彦次郎の妻であるひろがいます。

栄典

位階
1882年（明治15年）2月17日 - 従六位
1887年（明治20年）4月15日 - 正六位
1924年（大正13年）2月11日 - 贈従五位

勲章
1887年（明治20年）4月15日 - 勲六等単光旭日章

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