伊奈忠逵

伊奈忠逵について

伊奈忠逵（いな ただみち、1690年 - 1756年）は、江戸時代中期における関東地区の重要な政治家および行政官です。通称半左衛門としても知られる彼は、江戸時代の群代として数々の土木事業や農業改革に尽力しました。彼の家族背景も興味深く、彼は伊奈貞長の次男として生まれ、後に養父の伊奈忠順の後を継ぎ関東郡代となりました。さらに、彼には多くの親族が存在し、弟の伊奈忠辰や妹に諏訪頼定室、松平正億室、稲葉正純室などがいます。

経歴の詳細

忠逵は正徳2年（1712年）5月26日に養父の忠順が亡くなった後、その後を継いで関東郡代の職に就きました。彼はまた、勘定吟味役上座も兼任しており、老中の直属の支配者となったことから、重要な政治的役割を果たしました。この役職において、彼は都市の発展や農業の改善に向けた数々の施策を推進しました。

享保4年（1719年）には、上川俣（現在の羽生市）において葛西用水元圦を設け、日向堀を通じて利根川の水を引くことによって、羽生領南方用水（後の幸手領用水）の開発に成功しました。このような水利事業は、地域の農業生産を大いに向上させたと考えられています。

また、忠逵は井沢弥惣兵衛と協力して見沼代用水の開削にも関与しており、これらの水利改革によって江戸時代の農業の基盤を築く一助ともなりました。しかし、彼の政治キャリアには試練が伴い、享保14年（1729年）5月9日には手代の不正や収納した米の腐敗が原因で処罰され、減封処分を受けるという苦しい時期も経験しました。

忠逵はまた、甘藷（さつまいも）の栽培にも早くから取り組んでおり、青木昆陽の試作よりも前にその試みを行ったと言われています。これによって、地域の農作物の多様化と、食糧生産の改善に寄与しました。

寛延3年（1750年）7月30日、忠逵は関東郡代の職を退任し、のちに養子の忠辰がその職を引き継ぐことになります。宝暦6年に彼は没し、深川の玄信寺に葬られました。その際、戒名は「冶興院殿民誉擁衛心休大居士」と名付けられました。

このように、伊奈忠逵は江戸時代の地域発展において重要な役割を果たした人物であり、その業績は今なお評価されています。

もう一度検索