青木昆陽

青木昆陽について

青木昆陽（あおきこんよう、1698年6月19日 - 1769年11月9日）は、江戸時代中期の著名な儒学者および蘭学者であり、主にサツマイモの普及で知られています。彼は幕臣・御家人として、書物奉行としての職務を担いながら、甘藷（サツマイモ）に関する業績で特に名を馳せました。

生い立ちと学び

東京都中央区の日本橋小田原町出身である昆陽は、川を挟み近江国に由緒を持つ家系に育ちました。幼少期を経て、浪人となった彼は京都に移り、伊藤東涯の元で儒学を学びました。この経験により、儒学の知識と教養が身につき、後の活動に大いに活かされることとなります。

大岡忠相による抜擢

享保18年（1733年）に、江戸町奉行所の与力である加藤枝直に推薦され、南町奉行の大岡忠相に取り立てられました。これにより、江戸幕府内での活動が許され、特に書物の閲覧に関して広い権限を得ることになります。

サツマイモの普及

享保17年（1732年）に発生した享保の大飢饉は、各地に困難をもたらしましたが、昆陽はこの時期にサツマイモが重要な救荒作物であることに気づきました。彼は江戸幕府8代将軍・徳川吉宗に上書し、サツマイモの試作地を設けるよう要請。これが認められ、千葉の馬加村や小石川薬園などにて栽培が開始されます。

彼が特に江戸にサツマイモを広めたのは、享保19年（1734年）であり、後にその成果を『蕃薯考』という著作にまとめて発表します。この著作は広く評価され、昆陽は「甘藷先生」として称されるようになります。1736年には薩摩芋御用掛に就任し、正式に幕臣としての地位を得ます。彼の功績により、サツマイモは関東地方に広まることとなり、以後の日本の農業において重要な作物となりました。

古文書の研究と蘭学

昆陽は甘藷栽培からは一時期離れましたが、次第に古文書の研究へシフトします。彼は江戸時代の古文書を収集し、分類整理を行い、『諸州古文書』としてまとめることに成功しました。この作業は文献学の発展に寄与し、その後の研究者に多大な影響を与えました。

また、昆陽は1740年からオランダ語学習にも取り組み、1747年には評定所儒者としての役割を担うようになります。彼の活動は、オランダ語に関する文献や辞書を著すことで、日本における蘭学の発展にも寄与しました。

死去とその後

明和6年（1769年）に流行性感冒により72歳で逝去。彼に捧げられた多くの文学作品や記念碑が今も残されています。特に彼の墓所である瀧泉寺には「甘藷先生之墓」として彼を偲ぶ場所が整備され、昆陽の業績は歴史の中で高く評価されています。

昆陽の仕事は日本の農業、特にサツマイモの栽培において歴史的な位置を占めており、彼の知識と努力によって多くの人々が救われたことは間違いありません。最後に、青木昆陽の碑や神社は、彼の功績を讃えるための重要な文化遺産として今日も多くの人々によって訪れています。

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