伊居太神社 (池田市)

伊居太神社：歴史と文化が息づく池田の聖地

大阪府池田市綾羽に鎮座する伊居太神社は、古くから地域の人々に親しまれてきた由緒ある神社です。式内社であり、かつては村社として崇敬を集めていました。別名「穴織宮伊居太神社」とも呼ばれ、その歴史は応神天皇の時代まで遡ります。

創建と伝承

神社の創建は、応神天皇の時代にまでさかのぼると伝えられています。機織・縫製技術を習得するため、当時、中国南朝にあたる呉の国へ派遣された阿知使主と都加使主父子が、優れた技術を持つ4人の縫工女を連れて帰国しました。その中の穴織媛が池田の地で亡くなり、仁徳天皇77年に祀られたとされています。この穴織媛こそが、伊居太神社の主祭神です。

歴史の変遷

『延喜式神名帳』にもその名が記されており、古くから重要な神社であったことがわかります。延暦4年（785年）には、桓武天皇の勅命により社殿が造営され、応神天皇と仁徳天皇も合祀されました。しかし、天正7年（1579年）の有岡城の戦いにおいて社殿は戦火によって焼失。その後、慶長9年（1604年）、豊臣秀頼によって現在の本殿が再建されました。明治時代には村社に列せられ、現在に至っています。

建築様式と境内

伊居太神社の最大の特徴は、慶長9年（1604年）に豊臣秀頼によって再建された本殿です。全国で唯一の千鳥唐破風寄棟造りの三社造という珍しい様式で、その建築技術の高さがうかがえます。境内には、本殿の他に拝殿、中門、源頼光お手植えと伝えられる頼光松、姫室塚、社務所、神門などがあり、歴史を感じさせる建造物が数多く残されています。また、摂末社として、両皇大神宮、松尾社、国常立尊社、住吉社、猪名津彦社（祭神：阿知使主、都加使主）、稲荷社、厳島社などが祀られています。

文化財と宝物

伊居太神社には、池田市指定有形文化財である「元禄十年摂州豊島郡池田村絵図」が伝わり、当時の様子を知る上で貴重な資料となっています。また、神社の宝物として伝わる三角縁神獣鏡は、中国製の鏡と推定され、直径20.5センチメートルを測る貴重な品です。享和年間（1801年-1803年）に発見されたと伝えられていますが、具体的な出土地は不明です。

その他の情報

主祭神の穴織媛は、「綾織媛」とも表記され、池田市内の町名「綾羽」の由来になったとされています。五月山公園や五月山動物園のすぐ近くに位置し、一体となった景観を形成しています。池田市に現存する最古の神社とされ、池田駅近くにある呉服神社と深い関係を持つ「上の宮」として、地域の人々に親しまれています。地元では「いこた神社」と呼ばれることもあります。

アクセス

阪急宝塚線池田駅から徒歩15分、阪急バス綾羽町停留所から徒歩5分と、アクセスも良好です。歴史と自然に囲まれた伊居太神社は、池田市の歴史と文化を肌で感じられる貴重な場所です。

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