伊東祐実

伊東祐実（いとう すけざね）：激動の時代を生き抜いた飫肥藩主

伊東祐実は、江戸時代中期に日向国飫肥藩の第5代藩主を務めた人物です。彼は、藩の財政再建や災害からの復興、領土問題への対応など、多岐にわたる困難に立ち向かい、その治世は藩にとって重要な転換期となりました。

生涯

伊東祐実は、第3代藩主伊東祐久の四男として生まれました。兄で第4代藩主の伊東祐由に実子がなかったため、その養子となり、寛文元年（1661年）に家督を継承しました。藩主となった当初から、藩の財政は逼迫しており、その再建が急務でした。

藩政改革と災害、そして領土問題

祐実は、藩財政の立て直しを目指し、内政改革に積極的に取り組みました。しかし、その矢先の寛文2年（1662年）、領内を大地震と大津波が襲い、甚大な被害を受けました。さらに、薩摩藩との領土境界をめぐる争いも発生するなど、祐実の治世は困難を極めました。

それでも祐実は、これらの困難に屈することなく、飫肥城の改築、油津堀川運河の開削、植林事業の奨励、甘藷の食糧自給化、郷士制度の確立など、様々な政策を推進しました。また、薩摩藩との牛の峠境界論争では勝訴し、領土を確定させるなど、外交面でも手腕を発揮しました。

後継者問題と隠居

祐実には実子がなかったため、当初は分家筋の伊東祐崇を養子に迎えました。しかし、祐崇が病弱だったため廃嫡し、代わりに伊東祐信の長男である祐永を養子としました。正徳4年（1714年）に祐永に家督を譲り、隠居しました。享保8年（1723年）9月18日、80歳でその生涯を閉じました。

伊東祐実の業績

伊東祐実の治世は、災害や領土問題に翻弄されながらも、藩の基礎を固めるための様々な政策が実行されました。特に、油津堀川運河の開削は、地域の発展に大きく貢献しました。また、甘藷の栽培を奨励し、食糧自給率の向上に努めたことも、特筆すべき業績と言えるでしょう。

系譜

実父: 伊東祐久
実母: 滝川法直の娘
養父: 伊東祐由
正室: 秋田盛季の娘
継室: 鍋島光茂の娘
養子: 伊東祐崇（後に廃嫡）、伊東祐永
* 養女: 伊東祐永正室（伊東祐崇の娘）



伊東祐実の生涯は、激動の時代を生き抜いた一人の藩主の姿を私たちに伝えてくれます。彼の内政手腕や外交力は、現代においても学ぶべき点が多いと言えるでしょう。

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