伊東祐帰

伊東祐帰：最後の飫肥藩主の生涯

伊東祐帰は、日向国飫肥藩の第14代にして最後の藩主です。明治維新という激動の時代を生き抜き、その生涯は日本の近代化と深く関わっています。

祐帰は、第13代藩主伊東祐相の長男として生まれました。明治2年（1869年）、父・祐相の隠居に伴い家督を継ぎ、まもなくして飫肥藩知事に就任します。藩主として、彼は藩政改革に尽力し、近代的な行政システムの構築を目指しました。しかし、時代の流れは速く、明治4年（1871年）の廃藩置県により、飫肥藩は解体。祐帰は東京に移住することになります。

東京での生活が始まると、祐帰は新たな局面を迎えます。明治10年（1877年）、西南戦争が勃発。この時、祐帰は継室の養兄にあたる岩倉具視からの要請を受け、故郷である飫肥の士族たちに西郷隆盛率いる西郷軍に加担しないよう説得にあたりました。西郷軍への参加を画策していた小倉処平率いる飫肥隊にも、祐帰からの手紙が届いていたと伝えられています。しかし、小倉らは最終的に西郷軍に加わったことが記録されています。この出来事は、祐帰の複雑な立場と、時代の激動を象徴する出来事と言えるでしょう。

祐帰の政治活動は、廃藩置県後も続いています。彼は政府要職に就くわけではありませんでしたが、故郷飫肥や旧藩士たちへの影響力は依然として大きく、その手腕は高く評価されていました。

私生活においても、祐帰は多くの女性と結婚し、複雑な家族関係を持っていました。正妻の木下千賀の他に、岩倉具慶の娘である岩倉文子、そして酒井忠義の娘である酒井久子と相次いで結婚しています。そして、久子との間に長男である伊東祐弘をもうけました。長女の彜子は子爵吉田良正と結婚しています。

明治17年（1884年）、祐帰は子爵に叙爵され、華族の仲間入りを果たしました。しかし、栄光の日々も長くは続かず、明治27年（1894年）、わずか40歳という若さで東京で亡くなりました。晩年、彼は鵜戸神宮宮司という宗教的な役割も担っていました。

伊東祐帰の生涯は、激動の明治時代を生き抜いた一人の藩主の物語です。藩主としての役割、西南戦争における政府への協力、そして華族としての地位、さらに宗教的活動と、彼の活動は多岐に渡ります。彼の功績と複雑な人生は、近代日本の歴史を理解する上で貴重な資料と言えるでしょう。彼は単なる藩主ではなく、時代の変遷の中で、巧みに生き抜き、影響を与え続けた人物であったと言えるのではないでしょうか。

家族

父: 伊東祐相
正妻: 木下千賀（木下俊敦の娘）
継妻: 岩倉文子（岩倉具慶の娘）
継々妻: 酒井久子（酒井忠義の娘）
子女: 伊東祐弘（長男、酒井久子との間の子）、彜子（長女、子爵吉田良正の妻）

栄典

明治27年（1894年）4月25日：正四位

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