木下俊敦

木下俊敦：日出藩13代藩主の生涯

木下俊敦は、豊後国日出藩の第13代藩主として知られています。正五位に叙され、従五位下、大和守、左衛門佐の官位に就きました。幼名は銀之助、通称は主計です。

激動の時代を生きる藩主

文化12年（1815年）、兄である先代藩主・俊良の急逝を受け、養嗣子として家督を継承しました。しかし、当時、日出藩は深刻な財政難に陥っていました。この窮状を打開するため、俊敦は藩政改革に着手します。まず、天保3年（1832年）には帆足万里を登用し、改革を進めましたが、残念ながら成功には至りませんでした。その後、天保6年（1835年）からは関勝之を起用し、改めて改革に挑みます。

弘化4年（1847年）、病気のため、家督を次男の俊方に譲り、隠居しました。その後、廃藩に至るまで、日出藩主の座には俊敦の子孫が3代にわたり継承されました。特筆すべきは、俊敦が存命中、その全ての子が亡くなっているという点です。明治3年（1870年）には明治天皇に拝謁する機会にも恵まれ、明治19年（1886年）、85歳で生涯を閉じました。法号は秀真豊臣俊敦命、墓所は青山霊園1-イ-2-25にあります。

家族と系譜

俊敦の出自や家族関係も、その生涯を理解する上で重要な要素です。実父は木下俊懋、実母は側室でした。養父は前述の通り、兄の俊良です。正室は朽木倫綱の娘、継室は酒井忠進の娘でした。側室として美佐と河瀬氏との関係があり、これらの方々との間に複数の子をもうけています。

その子息たちには、家督を継いだ次男の俊方、四男の毛利元純、五男の俊程、七男の俊愿などがいます。娘たちについては、一人目は柳生俊順の正室、二人目は仙石政固の正室、三人は伊東祐帰の正室となりました。

藩政改革の試練と晩年

俊敦の治世は、財政難という厳しい状況下での藩政改革に明け暮れた時代でした。帆足万里、関勝之ら有能な人材を登用するなど、改革への強い意志は伺えますが、結果として期待されたほどの成果は得られなかったと言えるでしょう。しかし、彼の努力は、日出藩の存続に貢献したことは間違いありません。晩年は隠居生活を送りましたが、明治天皇への拝謁など、時代の変化を肌で感じながら、長寿を全うしました。

まとめ

木下俊敦は、激動の時代に日出藩を率いた藩主でした。財政難という困難な状況の中、藩政改革に尽力し、子孫に家督を継承させました。彼の生涯は、時代の流れの中で懸命に生きた一人の藩主の姿を、鮮やかに描き出しています。数々の試練を経験しながらも、85歳まで長生きし、明治天皇に拝謁するなど、波瀾万丈の人生を送ったと言えるでしょう。彼の功績は、日出藩の歴史に深く刻まれています。

もう一度検索