伊藤孝二郎

伊藤孝二郎（いとう こうじろう）は、1923年12月17日に生まれ、2003年7月28日に亡くなった日本の地方政治家です。彼は新潟県北蒲原郡黒川村（現在の胎内市の一部）において、約半世紀という長期間にわたり村長を務めました。

新潟県黒川村で育ち、盛岡高等農林学校（現在の岩手大学農学部）で学びました。卒業後、地元の村政に携わり、村議会議員を経て、1955年に31歳で黒川村長選挙に立候補し、当選を果たしました。

村長として彼は、「先憂後楽」という政治理念のもと、村の発展に向けた三つの主要な公約を掲げました。それは「胎内川総合開発」「道路網の整備」「農業の近代化」でした。これらの基盤整備に加え、観光事業の積極的な推進にも力を入れました。胎内スキー場、胎内高原ビール園、そしてロイヤル胎内パークホテルといった施設の開発や整備は、新たな雇用を生み出し、村の経済を活性化させました。特に、農業の近代化と組み合わせたこれらの取り組みは、若い世代の流出を防ぎ、村の過疎化を食い止める上で重要な役割を果たしました。

伊藤氏はその卓越した行政手腕を村政の枠を超えて発揮し、全国市町村会の副会長や新潟県市町村会の会長といった、地方自治を牽引する要職も務めました。

彼は1955年の初当選から、一度も村長職を離れることなく、2003年6月に体調不良を理由に辞職するまで、連続して12期務めました。この約48年に及ぶ在任期間は、地方自治体の首長としては極めて異例の長さです。連続当選回数としては、13期を務めた岡村雅夫氏（西分村長、後に芸西村長）に次ぐ全国歴代2位ですが、同一の自治体における連続在任期間としては、全国で最も長い記録として知られています。

長年にわたる地方自治への貢献が称えられ、1988年には藍綬褒章を受章しました。2003年6月に健康上の理由で村長を退いた後、同年7月28日に胆嚢癌のため79歳でこの世を去りました。死去に際しては、その功績を称えられ、勲三等瑞宝章が追贈されるとともに、従五位に叙されました。彼の村への貢献を記念し、村の観光振興の象徴ともいえるロイヤル胎内パークホテルには、現在も彼の銅像が建立されています。

伊藤氏の政治家としての歩みや業績に関する詳細な情報は、『新訂 現代政治家人名事典 : 中央・地方の政治家4000人』（日外アソシエーツ株式会社、2005年刊）などに収録されています。

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