伊賀上野藩

伊賀上野藩の歴史

伊賀上野藩は、三重県伊賀市に位置していた藩であり、居城は伊賀上野城です。この藩は、戦国時代に筒井氏によって支配されていました。筒井氏は、戦国時代において大和を統一し、一時はその勢力を誇示しましたが、その後若死や外的侵攻によって衰退を余儀なくされました。

筒井氏の台頭と衰退

筒井氏の始まりは筒井順昭によるもので、彼は大和の統一を果たし、その名声を高めました。しかし、順昭亡き後はその後継者たちが短命であったため、勢力は次第に衰えていきました。また、松永久秀による侵攻があり、その影響もあって一時は筒井氏が窮地に陥ります。しかし、順昭の子である筒井順慶は辰市城での戦いで久秀に対して大勝を収めます。

順慶は織田信長の家臣となり、信長を支持しました。後には織田信長に叛いた久秀に対しても、順慶が上位に立ち、大和の支配を任されることになります。しかし、天正12年（1584年）に順慶は35歳という若さで亡くなり、その後は養嗣子の筒井定次が家督を継ぎます。

移封と戦乱の時代

1585年、定次は豊臣秀吉の命により、伊賀上野20万石に移封されます。ここで、伊賀・伊勢・山城合わせて20万石を与えられ、彼は羽柴氏の姓を名乗り、従五位下・伊賀守に任命されました。定次は関ヶ原の戦いで東軍に与し、家康の会津征伐に従軍します。しかしその間に、居城の伊賀上野城は西軍の新庄直頼に攻略されるなど不運な面も抱えていました。

結局、定次は関ヶ原本戦で奮戦し、戻って居城の奪還にも成功、戦後にはその功績が認められ、所領を安堵されました。しかし、定次はその後も豊臣秀頼へ年賀の挨拶に訪れるなど、家中が豊臣派と徳川派に分裂し、幕府への忠義に疑問を持たれる要因となってしまいます。

改易とその後

慶長11年（1606年）に上野城が火災に遭うと、その復興を巡って家中の対立が再燃します。定次にはその抗争を抑える能力が不足していました。そして、慶長13年（1608年）中坊秀祐が定次の悪政や怠慢を訴えたことがきっかけで、筒井家は改易されることとなりました。現在では、これは単なる政務の怠慢ではなく、伊賀上野の戦略的価値を考慮した徳川家康の策謀により引き起こされたという説が有力視されています。

定次はその後、鳥居忠政の元で保護されますが、結局、彼とその息子は大坂冬の陣で豊臣家との通謀が疑われ、元和元年（1615年）に切腹を強いられました。この時点で、筒井氏の宗家は完全に断絶しました。その後、伊賀一国は藤堂高虎の領有となり、伊勢津藩の一部に組み込まれることとなりました。

歴代藩主

• - 筒井氏（外様）

- 定次（20万石）

時代の波にもまれた伊賀上野藩の興亡は、その背後に複雑な人間関係と政争が隠されており、日本の歴史を語るうえで重要な地域の一つでした。

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