伏木悦郎

伏木悦郎（ふしき えつろう）は、1952年3月24日に静岡県三島市で生まれた日本の自動車評論家です。

評論家への転身

専修大学法学部に入学しましたが、1973年に中途退学。その後、モータースポーツの世界で活動した経験を経て、自動車評論家としてのキャリアをスタートさせました。

FRへの情熱と人物像

彼の評論活動における最も顕著な特徴は、後輪駆動（FR）方式への並々ならぬ愛着です。自身のブログなどでも「FR絶対主義」を掲げ、その信念を貫いています。一方で、環境問題にも深い関心を示すなど、自動車を取り巻く多様なテーマについて論じています。業界内では「アニキ」の愛称で親しまれていました。また、自動車業界における権威ある賞の一つである『日本カー・オブ・ザ・イヤー』の選考委員を1987年から2002年までの長きにわたり務めました。

愛車遍歴とFR車への提言

伏木氏のFRへの情熱は、彼の愛車遍歴にも色濃く反映されています。最初に手にしたのはホンダ・シビック（初代、SB系）でした。続いてホンダ・プレリュードに乗った後、メルセデス・ベンツ190Eアンファング（国内仕様では珍しい5速MTモデル）に出会ったことで、改めてFR駆動の魅力に開眼します。

1990年代に入ると、日本の自動車市場では国産の小型・中型車が前輪駆動（FF）やそれをベースとした四輪駆動が主流となり、FR車は大型で高価なモデルに限られる状況を憂慮するようになります。この状況に対し、彼は雑誌などの媒体を通じて「排気量2,000cc程度で自然吸気エンジンを搭載した、手頃な価格のFRスポーツカーを国内メーカーは開発すべきだ」と積極的に提言しました。この主張の急先鋒となった彼は、その提言に応えるように登場したトヨタ・アルテッツァとホンダ・S2000に強い関心を示し、発売直後の1999年には両車を続けて購入するという意欲を見せました。それまで大切にしてきたメルセデス190Eアンファングは、『ベストカー』誌のプレゼント企画を通じて読者に譲っています。その後、アルテッツァから2代目トヨタ・プリウスへと乗り換え、2009年夏にはS2000も手放しましたが、前述の通りFRへの信念は揺らいでいません。

協会からの除名

しかし、彼のキャリアには波乱もありました。2016年3月28日、日本自動車ジャーナリスト協会（AJAJ）は、伏木氏を同協会から除名する処分を発表しました。その理由は、過去2年あまりにわたり、協会員や自動車ジャーナリズム全体に対してSNSなどで侮蔑的な発言を繰り返したためとされています。この出来事は、自動車ジャーナリズム界隈で大きな議論を呼びました。

執筆活動と情報発信

自動車評論家として、『driver』（八重洲出版）や『XaCAR』（三栄書房）など、数多くの自動車専門誌に寄稿してきました。『driver』誌の企画で、123個もの菓子を試食するというユニークな経験も持ち合わせています。現在は、自身の公式ブログ「からだとクルマ」や、X（旧Twitter）、Facebookなどを通じて、自動車に関する情報や日々の出来事を発信しています。

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