伏見宮邦家親王

伏見宮邦家親王の生涯

伏見宮邦家親王（ふしみのみや くにいえしんのう、1802年11月19日 - 1872年9月7日）は、江戸時代の終わりから明治時代にかけて活躍した日本の皇族であり、世襲親王家の伏見宮第20代および第23代当主である。彼は伏見宮貞敬親王の長男で、幼少期には睦宮と呼ばれていた。彼の家系は北朝の崇光天皇の14世孫であり、霊元天皇の来孫でもある。

邦家親王は文化14年（1817年）に光格天皇の猶子に選ばれ、親王としての地位を正式に認められ、「邦家」の名を授けられた。同年、元服し、上野太守に任じられ三品の位を得る。天保6年（1835年）には、鷹司政熙の娘である景子と結婚し、幕末の激動期を迎えた。

天保12年（1841年）、父親の貞敬親王が薨去したことで、邦家親王は伏見宮を相続する。しかし、同年10月、彼の実子である勧修寺宮済範親王が妹と駆け落ちする事件を引き起こした。この出来事は仁孝天皇の激怒を招き、邦家親王は翌年に家督を第6王子である睦宮に譲り、隠居することを余儀なくされ、出家して禅楽と名乗った。

長年の隠遁生活を経て、元治元年（1864年）に再度復飾が許可され、伏見宮の家督を再継承する。これにより邦家親王は再び「邦家」の名に戻った。大政奉還後、慶応3年（1867年）には国事御用掛として活動を開始し、慶応4年（1868年）には一品に叙せられる。明治5年（1872年）には、家族と共に京都を離れて東京に移住し、同年4月には次男の貞愛親王に家督を譲り再び隠居する。しかし、同年8月に71歳で薨去した。

家族構成

邦家親王は、父親の貞敬親王同様、多くの子供を持ち、特に成人した男子が多数いた。このため、明治以降の伏見宮系皇族の隆盛の基盤を築いた人物とされる。彼の家族構成は次のとおりである。

• - 父母: 伏見宮貞敬親王、家女房・藤原誠子
• - 妻子: 妃・鷹司景子（東山天皇の玄孫）

- 主要な子供たちの中には、貞教親王（第6王子）、光宮女王（第5王女）、喜久宮（第7王子）や、敦宮貞愛親王（第14王子）などがいる。

また、邦家親王には、女房となった女性たちも多く、それぞれに子供を授かっている。特筆すべきは、彼の長子である静宮山階宮晃親王であり、若年であったため当初は父親の兄にあたる貞敬親王の子と見なされていたが、後に邦家親王の実子と認定された。

邦家親王の家族は、幕末から明治にかけての日本の歴史において重要な役割を果たし、彼が持つ影響力はその後の皇族の活動に引き継がれていった。彼の生涯は、波乱に満ちた時代の中での家族のあり方や、伝統と改革の間での葛藤を象徴しており、日本の歴史を語る上で欠かせない存在である。

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