会式一号機

会式一号機（かいしき いちごうき）

会式一号機は、1911年に日本で製造された軍用飛行機であり、その正式名称は「臨時軍用気球研究会式一号機」です。一般には「会式一号」や「徳川式」として広く知られています。この機体は、国産の飛行機として初めて軍用に設計されたものであり、日本航空史において重要な位置を占めています。

製作の背景

会式一号機の「会」は、「臨時軍用気球研究会」を指し、この研究会は1909年に設立されました。この機関は陸軍、帝国大学、中央気象台のメンバーによるもので、気球や飛行機の軍事利用を徹底的に研究することが目的でした。1910年、当研究会の一員であった徳川好敏大尉がフランスで飛行機操縦を学び帰国し、同年末には日本初の公式飛行を成功させました。その後1911年、所沢に日本初の飛行場が設けられ、当初は輸入機のみが存在しましたが、練習用機の不足が顕在化しました。

初飛行までの道程

会式一号機は、フランス製のアンリ・ファルマン複葉機を参考にして設計されましたが、徳川大尉により空気抵抗を軽減するための改良が加えられました。すべての製造材料は国内から調達されたものの、当時の工業力は限られており、製作は手作業で行われました。1911年7月、所沢飛行場の格納庫で製作が開始され、約3ヶ月後の10月に完成しました。テスト飛行では、最高高度85mを記録し、時速72km/hという優れた性能を示しました。

機体の改造と後続機

初飛行時は1人乗りでしたが、1912年に後部座席が追加され、2人乗りが可能となりました。この際、主翼や尾翼、降着装置にも変更が加えられ、改造後は「改造会式一号」や「会式一号（改）」とも呼ばれるようになりました。会式二号機以降も徳川大尉の設計によるものであり、各機体は常に改良がなされました。

会式二号機は1912年に完成し、陸軍機による初の「帝都訪問飛行」を実施しました。会式三号機は事故に遭遇しエンジンの換装が行われ、それ以降の機体は更なる改良が施されました。最終的に設計が沢田大尉に引き継がれ、彼の手によって日本独自の飛行機が設計されました。

現在の状況と資料

会式一号機及び派生機の実機は現存していませんが、1992年に製作された原寸大のレプリカが所沢航空発祥記念館に保管されています。また、1999年には特殊切手『20世紀デザイン切手シリーズ第2集』において、初の国産飛行機として会式一号機が描かれた切手も発行されています。この記事は、日本の航空史における重要な一歩を振り返るものとして、今後も語り継がれていくことでしょう。

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